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ハートで汗をかいているか
矢沢永吉の成りあがりで好きなフレーズがある
「汗かく、速い曲やれば運動するから、自然に汗をかく。
オレの場合、どんな曲でも動くから、汗かく。
でも、そんなのどうでもいいんだ。
ハートで汗をかいてるかどうか。大事なこと。」
出典 成りあがり―矢沢永吉激論集
5年前の自分に聞かせたら、「そんなことよりサッカーでは技術や判断、戦術が大事やろ」と返しそうな言葉である。
巷では認知や判断、5レーン、ストーミングなどのワードが飛び交っている。かくいう自分もそのような要素があれば日本人が世界で闘っていけるとも思っていた。
ただ、日本の外に出て価値観が変わった。
というより変わらざるをえなかった。
メキシコのクラブでスタッフ同士の6対6のゲームをすることになり、『楽しくできるかな~』という気持ちで試合に臨んだら、
ぶつかられる
削られる
ミスに対してブチ切れられる。
このときは『遊びのゲームじゃないの?』と思っていた。
後日、メキシコの社会人リーグでプレーすることになって4試合だけ参加させてもらったが、両チーム合わせて5枚のレッドカードが出る。おっさん同士のサッカーなのに笑
試合になると
・勝つためにプレーする
・目の前の勝負にこだわる
・自分のエリアに入ったボールは全力で奪う
この要素が強いせいで自然とファールが多くなってしまう。
そのような環境から日本に帰って育成年代を観ていると、勝ちたいのかな?と思える試合が多いことに気付いた。
「個の育成のためにドリブルのみで、パス禁止にしているんですよ」
「世界で闘うには認知や判断が必要でしょ」
もちろん、認知や判断、ドリブルなどはサッカーにおいて必要不可欠だが、それらの能力が高い選手でも目の前の勝負にこだわれなければ、チームから試合で必要のない選手になってしまう。
「ファールをしてはいけない」ではなく、「ファールは勝負の中で生まれてしまう」
この1ヵ月で元日本代表や現役のプロ選手と多く話す機会があったが、最前線でプレーしている選手は総じて闘っている。
日本のサッカーメディアもここに対してもう少しフォーカスすることで選手や指導者、保護者の考えも変わることだろう。
あらためて言うが、5年前の自分に聞かせたら『何言ってんの?』と返しそうな文章だが、今の自分は真剣にこう思うようになった。
「ハートで汗をかいているかどうか」
素敵な言葉だ。