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余命半年、手遅れだった/遠野雑記帳

がん告知受ける (05年4月14日) 父は旧遠野病院で胃がんの手術をした。26年も前の話だ。

手術の日時が決まると、叔父と兄が何やら相談していた。主治医への謝礼ををどうしよう。いくら包めばいいか、あの先生はウイスキーが好きらしい。手渡すタイミングは術前か術後か。

私も話し合いに加わったが、特に発言はしなかった。術前、術後の二者択一なら術前がいいかな、という気持ちに傾いた。結局、多少のお金とウイスキーを術前に贈ったような気がする。

当時の遠野病院は遠野駅から5分ほどの所にあった。手術中、喫茶店でぼんやりし1時間ほどして病院に戻ると、叔父に「どこに行っていたのか」と怒られた。父のがんは手遅れだった。

余命半年。父には隠していた。元気になると私の家(千葉)に、母と一緒に遊びに来た。しかし、やはり「宣告」通りだった。再入院すると危篤状態になり1週間後、帰らぬ人となった。

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