入社式に一人だけ学生服/遠野雑記帳
「金の卵」(05年6月24日) 朝日新聞22日のオピニオン面に「集団就職」という読者の投稿が載っていた。昭和30年代、中学を出たての人たちは「金の卵」といわれた。
私は「集団就職」とは違うが、似たようなものだ。酒の席で同僚に「岩手から集団就職列車に乗って上京したんだろう」と、真顔で聞かれたりする。
5年に1度、中学の同級会を遠野近辺で開催中。ここ数年は「元気な時に会おうよ」ということで、関東在住の同級生が年に1度、会っている。
ある年の同級会で友人が「スーツを買うお金がなかった」と切り出した。入社式の記念写真を見ると、ただ一人、学生服姿だった。「同級生に有名人もいないが、犯罪者も出していないぞ」と言ったが、これは本音だ。
昭和40年代、社会人になり上司にも先輩、同僚、後輩に恵まれた。片田舎でともに学び、遊んだ仲間の存在も励みになり、現在に至る。