再婚したのと聞いたら…/遠野雑記帳
親不孝通り(05年4月21日) 遠野駅を出て左手に行くと、人々が「親不孝通り」と呼ぶ一角がある。
小さな町にしては珍しいほど、居酒屋、バー、スナックなどが立ち並ぶ。列車通学の高校生が登下校の際、この通りを利用していた。
入口から10㍍ほど行くと、中学の同級生がホステスとして働いていた店がある。飲みに行くたびに「お金は社会人になってからもらいます」と、奢ってくれた。
そして数十年後、彼女は古巣の店の近くで店を開き「ママ」になった。お互い年を取った。当時の「つけ」は残ったままだ。
昼下がり親不孝通りを歩く。帰省した際の習慣だ。店名に女性の名前をつけているところが多い。彼女の家の電話が、男性の名前になっている。「いつ再婚したの」と聞いたら「あれは息子の名前」と笑った。