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出張に誇りがあり出稼ぎに寂しさあり

小学校の時はずっと1クラス。中学で初めて1組以外の「組」に入った。本やノートに1年3組と記入していると、前の席の女子が振り向き「父はただいま出張中で~す」とおどけた。

隣の男子が「冬になると父は東京へ出稼ぎに行きます」と続いた。いずれも他の小学校出身者。出張には誇りがあり、出稼ぎには寂しさが感じられた。2人とは3年間同クラスとなる。

女子の父は営林署勤務。男子の父は農業だ。冬場は仕事がないため仲間4、5人で関東近辺へ。伯父が詠む「出稼ぎに行く若者を見送りて老の二人がホームに手を振る」。悲しいなぁ。

父もたまに1週間ほど留守にした。どこに行ったのかと母に聞いたことはない。農家なので出張なし、出稼ぎにしては短期間だ。一度「父は仙台へ出張中です」とか言って見たかった。

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