日本の電動車戦略の危うさ?

日本はパリ協定を踏まえた脱炭素の戦略として、自動車については、ガソリンエンジンを使ったハイブリッド車(HV)の販売比率を高くしていく戦略を組んでいる。一方で、欧米では、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォルクスワーゲン(VW)などは、電気自動車(EV)の販売比率を一気に20%近くに切り変えていくというトップダウン戦略をとっている。

日本は、なぜハイブリッド車(HV)が中心なの?

この点については、
 1、急速にEV化が進んだ場合に、夏場のピーク時に電力不足になる。
 2、電力を作るために逆に火力発電が増えてCO2排出量が増えてしまう。
という2点が指摘されている。

日本政府は2035年までに販売する新車はすべて電動車とする方針を決めている。そのため、30年までは、HVが販売の中心とされている。一方で、イギリスでは、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると発表した。

ここで、中の人は、少し疑問を持つ。

一般消費者が普段使いで乗る自動車は、HVとEVではどちらが環境性能が良いのか。また、これまで産業用の自動車などはディーゼル車が中心だったと思うが、こういう分野の新車もすべてEVで賄おうとすると、かなりの電力が必要ではないの?というあたりが議論されず、やれ、テスラ・モーターズや、BYDやというイメージから、電動車といえば、EVでしょ?とか、排出がないという観点だけで、EVの方が環境性能が高そうなイメージが形成されてしまうのではないか。というところが明らかになっていない。

日本は水素を使った燃料電池車(FCV)についても高い技術があり、環境性能も高いので、これらが普及することで、日本のCO2削減目標をクリアしていこうということを考えているわけだが、そもそも日本車が世界で売れなければ、経済の方を両立することができない。環境性能や炭素排出量にとらわれて、もう一方の経済性(特にマーケットにおける販売シェア)が失われれば、元も子もないじゃないか。という話があがってくる。

しかし逆に、イギリスの戦略においては、マーケットリーダーシップをとるための目標を立てるのは良いが、30年までにEV車購入のための補助金も含めてどれぐらいの財政負担が発生し、電力消費量が急激に増えた結果、排出量が減るのかどうかを慎重に検討する必要はある。

そして、自動車大国である中国は、2035年における環境対応車への移行比率は、ガソリン車0%、HV車50%、EV50%と予想している。この観点から言っても、日本の戦略はそこまで間違っている訳ではないと言える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?