パンケーキおじさん
今日の活動が、いったいどういう未来を描いてくれるのか。時には徒労感に襲われて苦しくなり、胃を鷲掴みにされて悶え苦しむような場面があったり、逆に希望の湧く瞬間に癒されたり、いったり来たりの迷路の最中にできることはとにかく”もう一歩”前に進むということのみです。
今年は、九州各地、様々な場所でパンケーキを焼いてきました。数えているわけではないので正確にはわからないのですが、少なくとも数千人へ「九州パンケーキ」を伝えてきたと思います。
熊本では戸馳島の宮川くん達が段取りしてくれた「やさしい黒糖」Makuakeスタート記念のイベント。昔馴染みのみなさんの顔も見えて、製粉会社でお世話になっている役員の方々も来てくださって、とても温かい時間でした。
えびの市の廃校「おべの分校」をリノベして、多様な活動をしているTerra池内くんは、農業と食をテーマにした地域づくりに奮闘しています。移住者で異端児の彼が、地域に認められて溶け込んでいく姿に未来を感じます。
宮崎国際ダンスフェスティバルを大成功させた、ダンス集団「namstrops - んまつーポス」のみなさんの前夜祭にも駆けつけました。義理堅い彼らは、これをきっかけにどこに行っても九州パンケーキをお土産にしてくれている。嬉しくて涙がでるようです。
佐賀県吉野ヶ里で『OK COFFEE Saga Roastery』をオープンした福山くんは、まちのイベントを運営する実行委員の中心になって盛り上げている。彼の行動力に巻き込まれて、どんどん地域が笑顔になっている。
熊本の八代を中心にして、「看護のココロ」という地域(老人)見守り看護の活動をしている蓑田さん。誰かがやらないといけない、という使命感にいつも心を動かされます。
社会の課題をみんなの機能へと変える〜”Change to HOPE”という掛け声の元、社会起業家を育て、世界より良い未来へと繋げるビジョナリーな集団ボーダレスジャパン。福岡へ移転した本社オフィスにもお邪魔しました。
台湾各地でも「地方創生」が叫ばれています。成長する都市部と、それに取り残された地方との格差が大きくなっている課題は九州と共通するものがあります。台湾各地でもそうした現場で意見を交わしました。
「1,000人が笑う村」という素敵なキャッチフレーズの西米良村は、宮崎県で最も小さな自治体。豊かな営みとは何かを考えさせられる美しい山村。村に唯一の小学校から子供達を招待してのパンケーキ教室を開催。
延岡のデザインオフィス「オノコボデザイン」は、月一で地域の皆さんも招いた勉強会をしている。商業デザイン、広告デザインの枠を飛び超えて、農業とかまちづくりとか、いろんな場面に沁みていくアートワーク。
「九州パンケーキ」のパッケージデザインを担ってくれている、GritzDesignの日高英輝さんのオフィスを尋ねて「やさしい黒糖」の試食。オフコマ動画の撮影をしてくれた写真家の蓮井幹生さんも駆けつけてくれました。
鹿児島の離島「甑島(こしきじま)」で暮らし、島ブランドを作っている山下賢太くん。小さな豆腐屋さんからスタートして、パン屋さん、カフェ、宿泊施設、食品ブランドの展開、そして観光事業へと活躍する尊敬する仲間。
長崎のアトツギフェスへ。一般社団法人ベンチャー型事業承継(アトツギファースト)は、事業継承者の成長が地域の未来をつくると信じて活動を続けています。代表の山野さんの情熱にはいつも心が震えます。
新富町(宮崎)でノンホモ低温殺菌牛乳を生産している酪農家・松浦牧場の松浦さんは、自らの商品を味わってもらう体験の場(カフェ)をオープン。商店街の夕市の日にお邪魔してパンケーキを提供しました。
北九州市八幡西区黒崎の駅前商店街の中にある「寿通り」に入るとシャッター1枚分の店舗が立ち並ぶ「寿百家店」にたどり着きます。商店街を元気にするってホント地道なこと。これを地道に続けている福岡さん、大尊敬です。
鹿児島の駅前にできた素敵なコワーキングスペースLi-Kaでは、Kabeuchi Snackと題したコミュニティイベントを開催して、起業家同士の繋がりの場に。紹介してくれた向井くんとは彼が学生頃からのつながり。
熊本県玉名郡南関町という人口1万人を切る小さな町で、ものづくり界隈に大きな影響を与えているヤマチクの山崎くん。「竹の、箸だけ。」というコンセプトを冠したファクトリーストアも大好評。年1回のイベントに今年も参加させてもらいました。
九州のものづくりを支えて、飛び回っているMakuake(マクアケ)の宮田さん。Makuakeという所属企業の壁を超えて、人と人がつながるイベント(スナック宮田)を企画しています。やさしい黒糖も試食してもらいました!
地方で起業したり、ものづくりをしたり、事業継承して発展を目指したり、農業もコミュニティも、活動を続けていくことって本当に大変なことです。そんな中で地に足をつけて踏ん張っている方々の存在は、僕にとっては同志でもあり何よりも大切な仲間です。
ここには紹介できなかった場所もたくさんあります。
ただそこに行って、パンケーキを焼く。
そっと寄り添って共に笑って楽しむ。
”パンケーキおじさん”は、存在もあやふやな、地味な活動です。なぜそんな活動をするの?と聞かれてもうまく答えられない。でも、多かれ少なかれ、地方で生きている彼ら(仲間たち)もいつも聞かれる問いではないでしょうか?
「なぜそんな大変そうなことをやるのか?」
彼らの存在を尊敬する僕は、ずっと彼らを応援していたい。いったり来たりの迷路の最中にできることはとにかく”もう一歩”前に進むということ。明日もどこかでパンケーキを焼いていたいと思います!