将来を見据えて、包材の企画・販売にチャレンジ。「おいしいを支えたい」を、新しく実践していきたい【勝木研二商店(後編)】
大手メーカー勤務の後、家業を継ぐことに
私は、小さい頃から会社が2階、自宅は3階の建屋、という商売が身近な環境で育ちました。祖母から「将来、仕事は何するとね?」と聞かれると、2階を指さしていました。そうすると祖母が喜んでくれるんですよね。だから小学校低学年の頃から”継ぐ”という意志は、どこかにありました。
大学も醸造学科があるところを選び、卒業後は大手食品メーカーに入社。
”発酵”が楽しいなと思ったのは、就職してからです。自分で発酵管理したものが商品になり、営業の方が販売してというのを目の当たりにして、やりがいがあるなと。お客様は問屋さんや京都の漬物屋さんなど、実際の発酵のプロを担当していたので、とても勉強になりました。
そして2015(平成27)年、勝木研二商店に入社しました。元メーカー職だったので当初は戸惑いもありました。どんな営業をしていくべきか、課題は何なのか、どうしたら喜ばれるのか…。営業として問屋としてより深い知識も必要だなと感じました。
入社3年目の時、四国の大手の醤油メーカー様に勝木としても取引きが未だ浅い仕入先様の魚介エキスを買ってもらいました。その醤油メーカー様も仕入先に弊社の競合問屋と取引きがあったにも拘わらず、私を指名していただいた事は大きな自信となりました。
新規事業として、包装資材部を立ち上げ
フリーズドライ商品や、食品添加物も価格競争の時代に入っています。そんな中、新しい挑戦として力を入れているのが、包材(パッケージ)の販売。2023年10月に包装資材部を立ち上げました。
中身と包装、加工食品はこの2軸でできています。それを一緒に商談の中で提案できれば、商品への思い入れも強くなり、商談の時間も短縮できる。そこはお客様にも喜んでいただけるのかなと。
そのため包材のプロを福岡本社と東京支社で2名、ヘッドハンティングしたのです。彼らは知見がとてもあり、ここはどんな包材が得意か、ここはスピード感に優れているなど、包材メーカーとのネットワークも豊富。取引先にも商品によっては、納期を2/3に出来ますよ、といった提案もできるようになります。さらにデザインも、2人に相談すると実現できるように組んでくれる。
それが今、実際の商品へと結実していて、長崎の食品メーカーさんの麺を入れる袋、角煮まんじゅうの袋などの制作が動き始めているところ。弊社である得意先の商権も買取り一気に包装資材部の勢いがつきました。
大手印刷メーカーさんが手掛けない、そんな分野にも着目しています。弊社の取引先には、中小メーカーさんも多いので、きめ細かくパッケージのご提案もしていこうと考えています。
社員の幸せのために。充実した福利厚生
私の専務としての業務は、普通の営業マンとして担当も持っていますし、社長と共に数字の部分も月次決算も含めた管理。そして人事の業務を行っています。現在、本社と東京支社で合わせて社員は20数名。ここ2年ぐらい総務と共に優秀な人材を求めて、採用活動にも力を入れています。
福利厚生面では、さまざまな手当てを用意しています。社員に一番喜ばれているのは、結婚・出産・お子さんの小中学校、高校大学などに進学する度に、特別賞与を支給。
また、45歳上の社員には人間ドックの費用を半分負担の制度も。ステージ1以上の癌と診断された時にも、まとまった御見舞い金を提供しています。これらは弊社でルールとして決めているものです。こんな時代だからこそ、社員さんには定年までいてほしいからですね。
海外も視野に入れて、メーカーと協働していきたい
国内の人口が減る中で、弊社も海外に目を向けていく必要性を感じています。お客様であるメーカーさんが海外に営業をかけられているのを見て、そこと協働して何かできないかと。
”九州”というのは食を中心として、海外でも愛されているブランドのひとつ。九州では甘旨の醤油がメインで、その醤油がないとできない料理、加工品があります。その一つが、とんこつラーメン。アメリカでは近年大ブームで、ここには絶対、九州のお醤油が使われています。
その「かえし」と言われる、最初にラーメンを作るときに入れる液には、その多くに弊社の商品が組み込まれているんですよね。本物のとんこつラーメンにはそれが必要なんですよ。それを戦略として、さらに広げていけたら面白いなと思っています。
九州ビネガー会の一員として
会合で皆様とお会いしますと、少し世代交代が進んできたのかなと感じます。昔からの横のつながりは大切ですし、一緒に勉強させていただきたいです。会員の皆様は、ほとんどがお取引様になります。今後の商売につながるご提案もさせていただきたいと思いますし、2024年問題、物価の高騰、人手不足など厳しい環境・時代の中でいかに解決策をご提示できるかも考えていきたい。そう思っています。
―後編 おわりー