異質なアニメ映画『犬王』
呪いによって奇妙な姿で誕生した「犬王」と呪いにより視力を失い琵琶法師となった「友魚」が出会い、狂騒を始める。異質な歌と舞によって京の都中を熱狂させる先に行きつく二人の運命とは…
5月26日から全国で公開されている『犬王』は平家物語が原作となっている。私は読んでいないが、多くの「異質さ」が際立つアニメであった。さらに、これは日ごろアニメを見ている人ほど不安になっていく物語であろう。しかし、終わるころにはもっと見ていたいとかもう一度聞きたくなるような、脳に残るアニメーションだった。
どこが脳に残るのか。それがミュージカルシーンである。歌の音以外にも大衆の様々な音が届き、少しずつ自分の周りと同化していく。気づくと自分がその場面の中の観客になっているような錯覚に陥る。今までにない表現は観客を歌の世界へ引きずりこむ。
時代アニメ、音楽アニメとしても異質な作品は、観た人を音楽へ取り込む映画だった。
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