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9月から単衣といいますが。。。
早いもので9月に入ります。
和名は「長月」ですが「夜長月」ともいわれ、「秋の夜長」という言葉にあるように、日が短くなり、秋の気配がより一層強まる月ともされています。
というのは暦の上でのお話で、現実は連日猛暑日のまだまだ夏の真っ最中です。特に今年の暑さは異例であり、昼夜を問わず30℃超え日々で体調を崩された方も多いのではないでしょうか。
そんな中、きものは線引すると9月から単衣。絽や紗といった盛夏の薄物から、裏地の付かない単衣のきものに変わるというのですから、この暑さの中でそれを考えるとゾッとしますね。
それもそのはず、いまの衣替えの流れは、明治6年に旧暦から新暦に暦が変更となり、その新暦に無理やりきものも当てはめてしまったものです。ですから、季節感や気候と合わないのは当然の話しです。さらに現代ではアスファルトとエアコンの室外機、二酸化炭素による温室効果など、環境の変化によって気候はどんどん変わっているわけですから無理もありません。
ここで新暦と旧暦を比べてみてみましょう。
今年の新暦の9月1日は旧暦の7月17日となります。旧暦では秋どころか、これから夏本番という暦ですね。
それでは逆に旧暦の9月1日はどうかというと、新暦でいう10月15日となります。こちらのほうが秋という感じがしますね。なおかつ、単衣を着るにはちょうど良い気がします。
さらに、旧暦の10月1日は新暦の11月13日になり、袷のきものに衣替えするにはちょうど良い気候かもしれません。
このように、明治時代に国の近代化のために、欧米の暦に合わせて旧暦から新暦を採用し、さらに役人や軍人、警察官などの制服衣替えを明確にしたことはもちろん理解できます。
ですが、暦という線引き以前に、気候や季節を感じて何をどう着るかに独自の美意識があるきものまで、新暦に合わせてしまったことが、きものの入り口を狭めてしまう結果になっているような気がしてなりません。
冠婚葬祭や茶会や茶事などのフォーマルはある程度決まり通りにしなければいけないかもしれませんが、オシャレきものは気候や陽気に合わせた着方をしても良いのではないでしょうか?
この秋は気候に合わせてご自分なりのきものの楽しみを作って下さい!
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正倉院平組八寸名古屋帯