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下腿三頭筋の解剖と機能を徹底解説! 〜学生・新人理学療法士、作業療法士のためのスキルアップガイド〜

こんにちは、内川です。皆さんは下腿三頭筋についてどのくらい知っていますか?下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋で構成され、主に足関節の底屈に作用します。

歩行や走行において力強く前に進んだり、階段の降段の際に急に落下しないよう支えたりと、日常生活ではなくてはならない存在です。下腿三頭筋が弱くなると股関節や膝が代償し、二次的に痛みが生まれることもあります…。

そんな下腿三頭筋ですが、みなさんは評価していますか?

足関節だけでなく膝や股関節の症状を訴える方で、評価アプローチを行うことでよくなる症例が圧倒的に多いなと私は感じています。(5.臨床ちょこっとメモで触れていきます)

早速一緒に解剖から確認していきましょう!

目次

  1. 下腿三頭筋の解剖と作用

  2. 下腿三頭筋の評価

  3. 下腿三頭筋のアプローチ

  4. 歩行時の作用

  5. 臨床ちょこっとメモ

  6. まとめ

  7. 参考文献

1. 下腿三頭筋の解剖と作用

起始:

  • 腓腹筋:大腿骨外側上顆(外側頭)、大腿骨内側上顆(内側頭)

  • ヒラメ筋:腓骨頭、脛骨内側縁

停止:

アキレス腱を介して踵骨隆起

支配神経:

脛骨神経(S1~S2)

作用:

  • 足関節の底屈

  • 膝関節の屈曲(腓腹筋)

  • 立位や歩行時の姿勢保持

下腿三頭筋は、足関節を強力に底屈させる主動作筋です。腓腹筋は膝関節を跨ぐため、膝関節屈曲にも関与します。立位や歩行時には、下腿三頭筋が体重を支える重要な役割を果たしており、特に足関節の安定性を保ちます。

2. 下腿三頭筋の評価

触診:

下腿の後面、ふくらはぎ部分を触診し、筋緊張や圧痛、筋肉の硬さを確認します。

MMT:足関節底屈

測定肢位:段階5.4.3は立位 片足立ちで行う

段階5.4.3の手順

  1. 肩より上の壁に指を置くか、指1,2本を手すりなどに置く

  2. 膝を伸ばしたままできる範囲で踵を上げる

  3. ②の動作を2秒に1回のペースで行う

  4. 最初の可動域の50%以下をなったら終了する

判断基準:(年齢や性別によってできる回数は少なくなる)

  • 5:25回以上繰り返しできる

  • 4:2~24回できる(十分に定義されていない)

  • 3:1回は全可動域を動かせる

測定肢位:段階2.1.0は腹臥位で行う

段階2の手順

  1. 足をベッドから出す

  2. 足関節を底屈する

  3. 足底面に抵抗を加える

段階1.0の手順

  1. アキレス腱を触知するか、ふくらはぎで腓腹筋を触知する

  2. 足関節の底屈を行う

判断基準:

  • 2:徒手抵抗に対して可動域を保持できる

  • 1:部分的に可動域を動かせる。筋の収縮が触知できる

  • 0:筋の収縮がない。腱が浮き上がらない

3. 下腿三頭筋のアプローチ

ストレッチ:

下腿三頭筋の柔軟性を高めるためには、足関節の背屈を行うストレッチが有効です。壁に手をついて前方に体重をかけるスタンダードなストレッチや、膝を伸ばしたまま行う腓腹筋のストレッチ、膝を曲げた状態で行うヒラメ筋のストレッチを取り入れます。

抑制方法:

前脛骨筋を繰り返し収縮させることでも下腿三頭筋の筋緊張を落とすことが可能です。(相反抑制)

筋力強化:

つま先立ち運動やカーフレイズ、階段を使ったエクササイズが効果的です。自重でのトレーニングから始め、徐々に負荷を増やしていくことが推奨されます。セラバンドを使った底屈運動も、筋力強化に有効です。

4. 歩行時の作用

  • 下腿三頭筋は立脚中期、後期で主に働きます!

  • 立脚中期、前足部が床に接地するときに足関節底屈筋が働き、身体の重心を足関節で受け止める。

  • その足関節を支点として下腿が前傾し前方に移動する。

  • 立脚後期で踵が持ち上がった時に身体重量を中足骨頭で受け止め、それを支点として下腿を前方に移動させショパール関節を固定する。

  • この時足関節底屈筋である下腿三頭筋の収縮により、下腿の前傾が制動されながら足関節は背屈する。

5. 臨床ちょこっとメモ

  • 下腿三頭筋の筋力低下で歩行時の推進力が不足します。立脚中期から立脚後期にかけ、下腿三頭筋が遠心性収縮することで股関節伸展が円滑になります。これが働かないと、歩幅が小さくなったり大腿外側に依存したりするようになります。

  • 上記により2関節筋である大腿筋膜張筋が過度に収縮することで股関節や膝に影響を及ぼします。

  • 腓腹筋は膝関節伸展時に、ヒラメ筋は膝屈曲時に優位に働きます。これを理解して、ストレッチや運動療法の際には肢位を変えてみましょう!

  • 下腿後面に痛みがある場合、トンプソンテスト(スクイーズテスト)も併せて行い、アキレス腱断裂の可能性がないか確認しましょう。 腹臥位で膝を90°屈曲の肢位で下腿三頭筋の筋腹をつまみます。その際に足関節底屈すれば陰性、関節運動がおきなければ陽性です。陽性の場合は医師にすぐ報告し、診察を促しましょう。

6. まとめ

① 解剖と機能

下腿三頭筋は、腓腹筋とヒラメ筋で構成され、主に足関節の底屈に関与します。腓腹筋は膝関節を跨ぐため、膝関節の屈曲にも作用します。歩行や立位の際には、下腿三頭筋が体重を支え、足関節の安定性を保つ役割を担っています。

② 評価とアプローチ

評価:触診では、下腿の後面を確認し、筋緊張や硬さ、圧痛を評価します。MMT(徒手筋力テスト)では、立位や腹臥位で足関節の底屈を確認し、筋力レベルを判断します。25回以上のつま先立ちが可能であれば、筋力は「5」と評価されます。

アプローチ:ストレッチは、足関節の背屈を行うことで腓腹筋やヒラメ筋の柔軟性を高めます。筋力強化には、つま先立ち運動やカーフレイズが効果的です。自重トレーニングやセラバンドを使用した運動が推奨されます。

③ 筋力低下の影響

下腿三頭筋の筋力低下により、歩行時の推進力が不足し、歩幅が狭くなる傾向があります。さらに、筋力低下があると股関節や膝への代償が起こり、大腿筋膜張筋などの筋肉が過剰に働き、股関節や膝に痛みや不調が生じやすくなります。

実際の治療では、他の筋群や姿勢全体とのバランスを考慮し、トータルなアプローチが必要です。ぜひ、下腿三頭筋の役割を理解し、日常生活での患者さんのサポートに役立てましょう! 解剖学イメージ集はこちら

7. 参考文献

  • 症例動画から学ぶ 臨床整形外科的テスト

  • 新・徒手筋力検査法 原著第10版

  • プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論運動器系 第3版

  • 症例動画から学ぶ 臨床歩行分析

  • 股関節 協調と分散

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大塚久
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