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上衣動作のリハビリ:実践的な工程分析と指導ポイント 〜現場で使える! 作業療法士のためのADL実践マニュアル〜

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。今回は、上衣動作をお伝えできればと思います。実際にZoomのナイトセミナーで「OTしゃべり場」というADLなどを話し合う場で出てきた上衣動作に関する会話を一部お伝えします。
前回の内容はこちら>>>
ADL訓練の要点: トイレ動作の工程分析 〜現場で使える! 作業療法士のためのADL実践マニュアル〜

先生!上衣動作について知りたいです。

上衣動作? 着るパターンと脱ぐパターンとがあるのと、服にも種類がたくさんあるけど…どれでしょうか?

確かに、そうですね。

とりあえず、上衣動作というものが知りたかったのですね。

そうですね。今は、前開きで長袖を着る練習をしています。

それは本人の服でやってるんですか?

いいえ、病院に置いてある服でやってます。

なるほど、それだと、家に帰った時に本当にできているのかわからないから本人が持っている服で実践した方がいいですよ。

確かにそうですか! 本人の服でできるかどうか確認してみます。

上衣のリハビリもトイレと同様(前回のコラム参照)工程分析を行う必要がありますか?

その通り! どんな動作でも工程分析は行った方がいいですよ。

上衣動作の工程を教えてください!

工程分析は自分で行うのが自分の中で抜けている工程を認識できるので、一番頭に入ります。まずは自分でやってみましょう!

わかりました! 麻痺側が右としたら、右腕を通して…頭をこう通してから左手に行って服を整えるかな?

いいですね! どんな服をイメージしましたか?

長袖のTシャツですけど…

そうですね、いいと思います。他にも先ほど話していたように、前開きの服とかもありますから季節で服を考えて練習するといいと思います。

わかりました!

簡単に工程分析をまとめてみますね。

お願いします!

<上衣の工程分析 ~右側が麻痺の場合での着替え~>
着るバージョン
・Tシャツ
右手(肩まで通す)⇒頭を通す⇒左手⇒服をお臍下までおろす⇒整える(特に麻痺側が上がってる場合が多い)

・前開き
右手(肩まで通す)⇒背中から回して左手を通す⇒服を整える(麻痺側がクシャッとなっている場合が多い)

脱ぐバージョン
・Tシャツ
後ろの首元を持って頭を脱ぐ⇒そのまま前に服を移動させ前腕の方へ服を移動させる⇒右手側を脱ぐ⇒服を足に挟み右側を脱ぐ

・前開き
左手で右手側を脱ぐ⇒右側にある服を左側に移動させる⇒足で服を挟み左側を脱ぐ

こんなパターンが臨床上多くみられましたね。

なんか大雑把なやり方ですね。

そうですね、結局のところ着れたらOK、脱げたらOKで誰かにみられているわけでもないですから教科書に載っているような、お上品にやる必要性があまりないのかもしれませんね。

そういうものなのですね。

たまたま臨床上そういう経験が多かったので、地域などで違うかもしれませんが、それはそれで工程分析した状態で実施するといいと思いますよ。

わかりました!

アプローチ方法はまたADLセミナーで教えますね。

ありがとうございます!
上衣の着脱はその人の性格や季節やその方の趣味(パーカーが好きなのかV系が好きなのか薄着が好きなのか等)によって工程分析が異なってきます。「型」にはめず、その人らしい着脱の仕方を一緒にみつけて実施してみましょう。先ほどの内容に重複しますが、工程分析を先に行うことで、その人らしいやり方で「何ができて」「何ができない」かがみえてきます。是非、工程分析を実施してみてください。

まとめ

  1. 工程分析をしよう

  2. 足りているもの、足りていないものを分別してアプローチをしよう

  3. 人によって着脱のやり方は違ってもいい

>>>7/9 coming soon

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大塚久
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