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デイリーWILLさん、違いますよ
私は普段、会社を経営しているのであまり観る時間が取れないのですが、それでもYouTubeのニュースや解説を観ています。マスメディアよりも公正中立なオピニオンが得られる場合も少なくないので。最近は、若い方達の方がしっかりとした意見と判断力をお持ちなのでとても感心しています。
そんな中で「デイリー WILL」さんもチャンネル登録しており応援しています。ただ、ちょっと腑に落ちないというか反論したい点が2点あります。ひとつは「故安倍総理に対する評価」で、もうひとつが今の「ハマスvsイスラエル観」です。今回は「【テロ撲滅】飯山陽さん「孤軍奮闘」にエール!/イスラエル経済「打撃」の真相【デイリーWiLL】」を拝見して違和感があったのでそれについて書きます。
デイリーWILLさんは、イスラエルに好意的という印象を受けました。飯山陽さんという方がイスラエル支持で孤軍奮闘している状況に対して応援するとのことです。飯山さんは麗澤大学国際問題研究センター客員教授でYouTuberの方だそうです。そして、その飯山さんを山根編集長と朝香豊さんが応援するぜ!と言っているわけです。
ただ、お話を聞いていると「ハマスはテロなのだから、ハマスに同情しちゃダメでしょ」ということのようです。ちょっとシンプルすぎるくらい単純。
ということで、私の反対意見を述べていきたいと思います。切り口を箇条書きにします。
1. ハマスはテロなのか?(テロと抵抗運動)
山根さん「ハマスはテロ組織なわけじゃないですかあ・・」
朝香さん「例えば、飛行機がハイジャックされました、で乗客の命が危険にさらされています。その時にハイジャック犯と妥協しますか?そういう話ですよね」
ひとつはハマスをテロと決めつけている点。もうひとつは、一歩譲ってテロだとしても、それで空爆をしますかという点です。つまり「ある都市に凶悪なテロリストが何人か隠れていました。その時に、その都市ごと軍隊が出てきて空爆しますか?」ということです。これはとても異常な考え方です。「常識的には公安や警察が対処するべきであって、軍隊がその街ごと破壊するなんてことはあり得ない」わけです。子ブッシュ政権が「テロとの戦い」などと言って、アフガニスタン侵攻などを始めた時にも「異常だ」と感じ、各国でもそういう声が少なくありませんでした。これを異常と感じない人は米国ソースのメディアに洗脳されて感覚がマヒしているのではないかと思えるくらいです。
テロリズムの定義は「政治的な目的を達成するために暴力および暴力による脅迫を用いること」となっています。各国の違いがありますが共通項でくくるとこんな感じです。パレスチナの領土をイスラエルは長年侵略して、合意ラインも超えて侵略し人殺しをしてるのだからイスラエルこそがテロなんじゃないの?と思うわけです。
ハマスはレジスタンス(抵抗運動)です。ナチスの侵攻に抵抗したフランスのレジスタンス武力組織のリーダーのジャン・ムーランJean Moulinはいまだに英雄ですよ。英国に逃れたシャルル・ド・ゴール将軍(後の大統領)に託されて戦い抜いたので。ハマスはそれとまったく同じですよね。
ハマスをテロと断定しているのはイスラエルと米国と一部の欧州だけで、全世界がテロと断定しているわけではありません。先日、上川外相が11月3日にイスラエルのコーヘン外相と会談した際に「ハマスをテロ」と呼んでいましたが、私はギョっとしました。
もちろん、ハマスが急襲して行った行為を認めるわけではありませんし、非難されるべきです。しかし、「それをもってテロと断定するのは思慮が足りない」と思います。
2. ハマスはなぜ勝てない相手に急襲をしかけたのか?(3千発のロケット弾の謎)
3千発におよぶロケット弾を手に入れることができたから。ハマスの戦闘員は数千人から2〜3万人程度、数十万人の軍隊を揃えることができて装備も最新鋭のイスラエルに勝てるはずがありません。たまたま3千発のロケット弾(ミサイルよりも弱い兵器です)を入手して誰かにそそのかされたからではないでしょうか?
入手ルートは証拠は出ていませんが、欧米がウクライナに供与した武器がゼレンスキー大統領(ユダヤ人)の了解のもとでハマスに流れたという見解があります(傍証2)
3. イスラエルはなぜハマスの急襲を察知できなかったのか?(モサド怠慢の謎)
知らないはずがないでしょ。ガザ地区内部にまでモサドの諜報員が潜入しているのに。武器の運搬も、その資金の流れもすべて衛星やネットで探知して監視しているのに。つまり、事前に知っていて知らないふりをしただけだと思います。その方が侵攻の大義名分が立つからです。
4. 誰が利益を得たのか?
ネタニヤフ:ハマスを殲滅し人質を救出するために空爆や地上侵攻をするからガザ地区から退避しろと警告していますね。退避が完了したら、イスラエル軍は駐留を解かずに、そのままガザ地区を占領ができてしまいます。ネタニヤフの目的はパレスチナの土地をひとつ残らず完全に占領することだと私は思います。
バイデンとネオコン軍産複合体:これはもう明らかなように思えます(傍証1と傍証3)。
5. 私の推測
5月2日イエレン財務長官が議会決定している債務上限問題について6月1日にも債務不履行の恐れとの見通し示し予算増額を促す。同じ週にバイデン大統領がロッキード社のジャベリン工場を視察してウクライナ追加支援予算を呼びかける。この時点ではウクライナ戦線はほとんどロシアの勝利で決着しています。ペンタゴンではウクライナ戦線維持は困難で外交的解決を図るべきとの報告をホワイトハウスにしたという話がありました(出所は不明)。
9月21日ゼレンスキー大統領が米国への訪問しバイデン大統領とも会談。
9月30日 米上下院で「つなぎ予算案(10月1日から45日間の予算執行を可能にする)」可決し連邦政府閉鎖を土壇場で回避。ただし、バイデン大統領が要求するウクライナ追加支援予算案は否決されました。
10月7日 ハマス事件が突然勃発。
10月18日 バイデン大統領イスラエル訪問し、米議会に対しイスラエルの対空防衛力などの強化に向け、巨額の予算を要求する考えを明らかにし、追加の軍事支援を行う考えを強調。
という流れを考えると「米国の軍需産業の増産計画を支援するためにはウクライナ戦争が敗退して終わったと言うわけにはいかない。半導体を国産化するためには数年かかるかもしれないので戦争特需は与え続けなければならない。仮に西側諸国も米国内議会もウクライナ支援疲れで予算増額をしないのであれば、米国が必ず支援しなければならない新たな地域で戦争特需が必要。そう考えて、ウクライナから一部米国製兵器をハマスに供与させた。当然イスラエルはそれを知っており、ハマスがどんな行動に出るかも潜入させているモサドの諜報員から情報を得ていた。イスラエルは被害者の立場という名目で堂々とガザ地区の占領を開始。米国議会はつなぎ予算が11月中旬に切れる。今度はイスラエル支援という名目で予算獲得を図る腹づもり。」というように思ってしまうわけです。あくまでも、これは私が勝手に想像し推測しているに過ぎません。結構、確信に近いですが。推測通りかどうかはいつまでも立証することはできないでしょう。しかし、推測通りだとしたら、こんなことのために何万人も命を犠牲にすることは許されないことです。
6. 傍証1:「ウクライナ戦争、いまだ米防衛産業の助けにならず」(2023年2月1日付 Wall Street Journal紙)。
さらに「米国は2月24日のロシアによるウクライナ侵攻開始後、4月22日時点で総額34億ドルの兵器をウクライナ側に供与した。その中には、5500発以上のジャベリンや、1400発以上のスティンガーのほか、米ドローン(無人機)メーカー、エアロバイロンメント社の自爆攻撃機能を持つドローン「スイッチブレード」700機以上など多様な武器が含まれる。」
さらに「バイデン政権のウクライナ軍事支援、累計4兆円に…新たにHIMARS用弾薬・ジャベリン供与(2023年2月21日付読売新聞オンライン)
「ジャベリン増産にはサプライチェーン強化必要-ロッキードCEO」(2022年5月9日 Bloomberg )ジム・ティクレットCEOの語った内容「ウクライナ軍はジャベリンを効率的に活用している。現在の生産能力は年間2100基だが年4000基生産できるよう取り組んでおり、そこに到達するには数ヶ月ないし数年かかる可能性がある」米国内のマイクロプロセッサー設計製造を後押しし外国からの供給の依存を減らす必要があるとも語った。バイデン大統領はこの前週にアラバマ州トロイにあるロッキードのジャベリン製造工場を訪問。330億ドル(約4兆3300億円)の追加ウクライナ支援を承認するよう米議会に呼び掛けた。
7. 傍証2:「米下院議員、ハマスがウクライナへ供与の武器を使用した可能性を指摘、確認を要請」(2023年10月9日スプートニク通信)
マージョリー・テイラー・グリーンMarjorie Taylor Greene下院議員(共和党)はイスラエル南部への攻撃でパレスチナ人が使用した米国製武器の出どころを確認するよう呼びかけ、それがウクライナから入手された可能性があると示唆した。
「イスラエル兵に対する攻撃にウクライナへ供与の武器が使用か=ドネツク高官(2023年10月8日)」ドネツク人民共和国のヤン・ガギン首長補佐官はイスラエル情勢について語った中で、NATOがかつてウクライナに供与した武器が、今、イスラエル兵士を攻撃する際に使用されている可能性があると語った。
8. 傍証3:軍需産業の株価の動き
株価上昇ランキング:1位 ミサイル防衛システムのレイセオン(現RTX) +18.7%、2位 ミサイル迎撃のノースロップ・グラマン +16.0%、3位 ドローン兵器のエアロバイロンメント +15.9%、4位 ジャベリン対戦車ミサイルのロッキードマーチン +14.3%、5位 戦車などのゼネラルダイナミクス +10.9%、6位 自律無人攻撃機も作っているボーイング +4.6%です。中東紛争で軍需産業の利益が上がると市場は思っています。
ちなみにウクライナ戦争の時も同様で、おおむね15〜23%くらいの株価上昇でしたが、ドローン兵器のエアロバイロンメントだけは+91.8%と突出していました。
軍産複合体とそれをスポンサーにしているバイデン政権がいかに今回のハマス・イスラエル紛争で利益を得ているかが株価に現れていますね。
以下は株価の動きのグラフです。
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ちなみ、ウクライナ侵攻でも同様です。
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いずれも紛争後に株価は跳ね上がっています。
9. 傍証4:イスラム協力機構(OIC)の声明と国連事務総長の呼びかけ
一介の庶民である私でもこんな仮説になってしまうわけです。米国やイスラエルが過去行なってきたことを痛みを伴って熟知している中東諸国や西アジアなどのイスラム教徒(世界人口の1/4)、そして国連の中でわずかに残っている良識派の人たち、そして先進諸国の中でイスラエルを糾弾して抗議デモをしている人たち。これらの動きは何よりも強力な傍証だと思いますよ。
最後に繰り返しですが、デイリーWILLさんを私は応援しています。今後も公正中立な立場での動画を楽しみにしています。一老人の意見として頭の隅にでも入れていただければ幸甚です。