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【PREP書評】天才を殺す凡人【北野唯我】

読書の世界をもっと楽しみたい、でも何を読めばいいのかわからない――そんなあなたのために、「PREP書評」をご提供します。

この企画では、私が読んで勉強になった本の概要やポイントをわかりやすく紹介し、皆さんの読書、noteやブログの執筆に役立ててもらうことを目指しています。

具体的には、PREP手法(Point(主張)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(再主張))を使って、本の魅力を分かりやすくお伝えします。

今回ご紹介するのは、北野唯我さんの『天才を殺す凡人』です。


【Point(主張)】

「天才」「秀才」「凡人」の才能軸の違いを理解することで、組織や社会での摩擦を減らし、より豊かなイノベーションを生み出せる。


『天才を殺す凡人』は、「才能のタイプが違うと、同じ言葉が通じない」という視点を提示しています。

天才は創造性重視、秀才は再現性重視、凡人は共感重視と、それぞれが異なる「軸」で物事を見ています。

この違いを理解せずコミュニケーションすると、摩擦が起き、「天才が潰される」なんてことさえある。

でも、そのメカニズムを知ることで、私たちは「異なる才能の橋渡し」や「共感の神」の存在を活用し、社会や組織全体に多様な才能を生かす道を開けるわけです。

【Reason(理由)】

才能タイプを理解すれば、異質な才能を排除せず、逆に活用して革新をもたらすことができるから。

なぜ才能タイプの理解が重要なのでしょうか。

それは、才能が異なる人同士が、同じ方向を向きながら互いを理解できれば、組織はまるで異なるパズルのピースが合わさって新たな絵を描くような状態になるからです。

たとえば「天才」は独創的なアイデアを生むけど、一人で突っ走りがち。

「秀才」はそのアイデアを整理し、形にして再現する力があるけど、独自性には欠ける。

「凡人」は共感のサポートでチームの土台を作る。

3者がそれぞれ異なる“軸”で世界を見ているからこそ、コミュニケーションが成り立たないときは、才能が埋もれたり衝突が起きたりする。

しかし、この本を読むことで、その断絶の正体を知り、「あ、だからあの人とは話がかみ合わなかったんだ」と理解できるようになる。

この理解は、組織を健全に保ち、イノベーションを生み出す強力な武器になるのです。

【Example(具体例)】

研究者の世界においても、「天才・秀才・凡人」の違いがはっきりと浮かび上がる場面を、私自身、目にしたことがあります。

私が身を置く研究コミュニティには、「この人の頭の中は一体どうなっているの?」と驚かされるほど、独創的な考えを生み出す、まさに「天才肌」の研究者がいます。

彼らは常識的な論理の枠組みを軽々と飛び越えて新たな概念を提示する才能に恵まれていますが、その一方で周囲の理解を得にくいこともしばしばです。

なぜなら、大半の研究者は「秀才」または「凡人」タイプだからです。

「秀才」タイプの研究者は、既存の評価指標に沿って地道に成果を積み重ね、組織からすれば扱いやすく、わかりやすい存在です。

一方、「凡人」タイプの研究者は、特別な研究成果を出すわけではないものの、周囲とのコミュニケーションを円滑にし、チーム全体の生産性を高める役割を果たします。

日本の“村社会”的な研究環境では、和を重視する傾向が強く、こうした風土の中では、秀才タイプが出世しやすくなる一方で、天才タイプは理解されにくく孤立しがちです。

海外の研究組織では、天才肌の研究者がより受け入れられやすい空気があるように感じますが、それでも本当に独創的な人材が十分に活かされるとは限りません。

実際、「あの天才肌の先生、組織にうまく引き立てられずに出世できなかったな……」と思う場面を何度か目にしてきました。

もし、その天才的な先生のそばに、共感力の高い凡人タイプがサポート役としていて、天才の奇抜なアイデアを噛み砕き、秀才タイプや組織全体にわかりやすく伝えていたなら、状況はまったく違っていたかもしれません。

そうしたサポート体制が整えば、本来埋もれてしまうような革新的なアイデアが、日の目を見る可能性は格段に高まるはずです。


いや、そうなって欲しい。

【Point(再主張)】

才能の違いを理解し、適切に活かせば、天才を「殺す」ことなく組織や社会を豊かにできる。

結局、『天才を殺す凡人』が教えてくれるのは、「才能は三すくみ」。

それぞれが異なる軸を持つことで、コミュニケーションは難しくなるけれど、その困難を乗り越える手立てがあると示してくれます。

天才の斬新なアイデアが、秀才の整理力と凡人の共感で育まれたら、圧倒的な価値を生み出すはずです。

今まで「変わり者」として浮いてしまった人も、この本の視点を得れば、適切なサポート体制や通訳役を見つけて輝けるかもしれません。

才能のタイプを知ることは、単に他人を分類するだけじゃなく、自分の中にいる才能を自覚し、伸ばすヒントにもなる。

人生やキャリアに行き詰まったとき、この視点は新たな道標となるでしょう。

きゅうさんの本棚:さらに本書に興味をお持ちの方へ。

この記事をお読みいただき、さらに『天才を殺す凡人』に興味をお持ちになった方は、お近くの書店やオンラインストアでおすすめの本を手に取ってみてください。

きっと理解が一層深まることでしょう。


漫画版もあるようです。

ぜひ一度お試しください!


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