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【PREP書評】歴史を生かす力 人生に役立つ80のQ&A【出口治明】
読書の世界をもっと楽しみたい、でも何を読めばいいのかわからない――そんなあなたのために、「PREP書評」をご提供します。
この企画では、私が読んで勉強になった本の概要やポイントをわかりやすく紹介し、皆さんの読書、noteやブログの執筆に役立ててもらうことを目指しています。
具体的には、「PREP手法(Point(主張)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(再主張)」を使って、本の魅力を分かりやすくお伝えします。
今回ご紹介するのは、出口治明さんの『歴史を生かす力 人生に役立つ80のQ&A』です。
【Point】
歴史を「使う」と日常の問題解決に最適解が見えやすくなる
この本の最大の魅力は、歴史を“暗記の対象”ではなく、“人生の問題を解くためのヒント”として活かす視点を、具体的なQ&A形式で示してくれるところにあります。
たとえば「Q なぜ歴史を学ぶのですか?」「A 最適解にたどり着くヒントになるからです」という入り口からして、単なる昔話の読み物ではないのが伝わってきます。
さらに、本書では「信長、秀吉、家康……一番『楽勝の上司』は誰?」とか「鎖国政策ってそんなに愚かだったの?」といった、意外性のあるテーマが次々に登場。
「仕事で大失敗したらどう立て直す?」とか「優れたリーダーシップとは?」など、ビジネスや人生で直面しがちな困りごとも、歴史をもとに解決策を導き出していて、読んでいると「こう考えればいいのか」と膝を打つことが多いです。
【Reason】
歴史には、過去の人類の成功・失敗パターンが集約されているから
なぜ歴史が役に立つのか。
それは、私たちと同じように悩みや失敗をした先人たちがどう行動し、どんな結果を得たかが“膨大なデータ”として蓄積されているからです。
著者の出口さんは、マーク・トウェインの言葉とされる「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」を体現するように、日本史と世界史両方から事例を幅広く紹介してくれます。
たとえば「江戸時代は平和が長く続いたけど、実は平均身長と平均体重が戦国時代よりも低かった」という話が出てきます。
こうした意外なデータから、「豊かさの定義ってなんだろう」と考えさせられるのが、本書のおもしろいところ。
また、徳川慶喜や勝海舟・西郷隆盛が「江戸城無血開城」を実現できた理由を知ると、組織運営やリーダーシップのヒントが得られますし、共産主義の計画経済が破綻しやすい構造を知ると「この組織はどこか似た問題を抱えてないだろうか」と自分の会社に当てはめて考えてしまう。
こうして学んだ歴史のパターンは、現代の問題解決に活かせるヒントの宝庫だと感じました。
【Example】
十字軍の「聖戦」の裏にあった経済的思惑に学ぶ
私が特に面白いと感じたのは、十字軍遠征の例です。
一見、「聖地を奪還しよう」という宗教的な大義が全てのように見えますが、実際には「若者の失業対策=出稼ぎ」や「武器や物資を売って儲けたい商人の思惑」が密接に絡んでいた。
ヴェネツィアやジェノヴァの商人たちは、十字軍に補給を続けることで莫大な利益を得られたため、「もっと行け、もっと行け!」と煽っていたというわけです。
表向きの目的と裏にある利害や思惑――これは現代でも、各国の政策や企業の動きを見るときに大いに参考になりますよね。
私自身も、この本を読んでからニュースを見るときに、「この政策の本音はどこにあるんだろう?」と考えるようになりました。
そのおかげで、情報をうのみにせず、自分なりに立ち止まって考えるクセがついたのは大きな学びだったと思います。
【Point】
歴史を「人生の道具」にすれば、行き詰まっても突破口が見つかる
本書『歴史を生かす力 人生に役立つ80のQ&A』では、「マネー」「失敗」「リーダー」「戦争」など多彩なテーマに加え、時代も日本史から世界史まで幅広く取り上げています。
「信長が一番ラクな上司だった」という切り口や、「鎖国政策が実はかなりマイナス要素が大きかった」という指摘など、一度は耳にしたことがある歴史の常識を、あえて真逆から見るような仕掛けが満載です。
また、著者が学長を務める大学の新型コロナ対策でも過去のパンデミックの教訓を活かしている話など、「なるほど、昔の経験が今にも通じるんだ」と実感できるエピソードも盛りだくさん。
戦後日本の急成長を「開国・富国・強兵」のグランドデザインで分析したくだりも、自国の強みを見極めて相手国とどう組むか、という戦略に気づきを与えてくれます。
さらに、こうした歴史の事例を知ると、ビジネスで上司や部下との関係に悩んだり、自分が大きな失敗をしてしまったりした時に「似たような状況が昔あったらどう解決したんだろう?」と考えられるようになる。
その思考プロセス自体が、大きなアドバンテージなんです。
実際、私も本書を読んでからは、「まず過去の事例はどうだったかな?」とサクッと調べるようになりました。
すると、まったく先が見えないと思った問題でも、「あ、似たパターンがあるじゃん」と気づいて、対処法を組み立てやすくなるんですよね。
まさに歴史を“道具”として使う醍醐味を味わえる一冊だと感じています。
きゅうさんの本棚:さらに本書に興味をお持ちの方へ
この記事をお読みいただき、さらに『歴史を生かす力 人生に役立つ80のQ&A』に興味をお持ちになった方は、お近くの書店やオンラインストアでおすすめの本を手に取ってみてください。
きっと理解が一層深まることでしょう。
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