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【PREP書評】こども統計学【渡辺美智子】
読書の世界をもっと楽しみたい、でも何を読めばいいのかわからない
――そんなあなたのために、「PREP手法(Point(主張)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(再主張))」による書評をお届けします。
この企画では、私が読んで勉強になった本の概要やポイントをわかりやすく紹介して、皆さんの読書やnote、ブログの執筆などに役立ててもらうことを目指しています。
今回ご紹介するのは、渡辺美智子さんの『こども統計学』です。
Point(主張)
子どもから大人まで楽しみながら学べる統計学こそ、現代社会を生き抜く必須ツールになる。
「統計」という言葉を聞くと、どうしても難しいイメージを持ってしまいますよね。
しかし、『こども統計学』を読んでみると、統計学は身の回りにあふれる情報を正しく読み取り、日々の生活や将来のビジネス、さらには家族のコミュニケーションにも役立つものだとわかります。
子ども向けに書かれているとはいえ、大人が読んでも「なるほど!」と思う実践的な内容が多いんです。
Reason(理由)
情報過多の時代だからこそ、“統計を使いこなす力”はクリティカルシンキングを育むうえで欠かせない。
私たちは日々、SNSやテレビ、ネットのニュースサイトなどから膨大な量の情報を得ています。
その中には、数字やグラフを巧みに使った広告や記事がたくさんあって、どれを信じるべきか判断に迷うこともしばしば。
こうした情報の“裏”をきちんと読み解くには、データの取り方や分析方法を知り、その信頼性を考える力が必要です。
しかし、「そもそも数学が苦手」「数字には抵抗がある」という方も多いですよね。
『こども統計学』では、小学校中・高学年を対象にしたやさしい言葉で、統計の入り口を丁寧に解説しているため、数字アレルギー気味な大人でも安心して読み進められます。
しかも新学習指導要領で取り入れられている重要なポイントや、「ヒストグラム」「散布図」「箱ヒゲ図」といった統計の三大グラフの基本の読み解き方もしっかり押さえているので、“今さら聞けない”内容を包括的に学べるのがありがたいところ。
Example(具体例)
「相関関係」と「因果関係」の違いを、読書量と漢字テストを例にわかりやすく説明してくれる。
本書には「相関関係」と「因果関係」を解説する項目があり、そのわかりやすさが抜群です。
たとえば、「読書量が多い人ほど、漢字のテストの点数も高い」というデータがあったとします。
この場合、「読書量」と「漢字テストの点数」には“相関関係がある”と言えますが、それがイコール“因果関係”だと即断するのは早計です。
「本をたくさん読む→漢字の知識が増える→テストの点が上がる」というシンプルな因果が成り立つ場合もあれば、「もともと漢字に興味があるから読書量も増えた」というケースもあるかもしれません。
さらに、「もともと国語や漢字に強い子が、本もよく読む」という別の要因があっても不思議ではありませんよね。
このように、数字だけを見て「これが原因だ!」と思い込むのではなく、“ちゃんと考えて分析する”姿勢こそが統計学を学ぶ意味なのです。
本書では、こういった考え方を日常的な事例に当てはめて解説しているため、「学校や塾で学ぶ難しい数式」をイメージして尻込みしていた人でも、楽しく“データに強い頭”を育てるきっかけになります。
Point(再主張)
統計的思考で“だまされない自分”を育て、未来を切り開くスキルを身につけよう。
数字やグラフは客観的なようで、実は裏にいろんな意図が潜んでいることもあります。
だからこそ、本書が提唱する「正しいデータの読み取り方」や「確率思考」によって、思い込みや情報操作に振り回されないクリティカルシンキングを身につけることは、今の時代に必須のスキルだと思うんです。
しかも『こども統計学』は、親子一緒に学べるような事例が豊富に載っているので、家庭内のコミュニケーションを深める手段としてもすごくおすすめ。
子どもはもちろん、大人にも「え、こんな風に考えられるのか」と驚きを与えてくれる一冊になるはずです。
きゅうさんの本棚:さらに本書に興味をお持ちの方へ
この記事をお読みいただき、さらに『こども統計学』に興味をお持ちになった方は、お近くの書店やオンラインストアでおすすめの本を手に取ってみてください。
きっと理解が一層深まることでしょう。
ぜひ一度お試しください!