ノーベル経済学賞受賞記念!【PREP書評】国家はなぜ衰退するのか(上)(下):権力・繁栄・貧困の起源【ダロン アセモグル, ジェイムズ A ロビンソン】
読書の世界をもっと楽しみたい、でも何を読めばいいのかわからない――そんなあなたのために、「PREP書評」をご提供します。
この企画では、私が読んで勉強になった本の概要やポイントをわかりやすく紹介し、皆さんの読書、noteやブログの執筆に役立ててもらうことを目指しています。
具体的には、PREP手法(Point(主張)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(再主張))を使って、本の魅力を分かりやすくお伝えします。
今回ご紹介するのは、ダロン アセモグル, ジェイムズ A ロビンソンさんの『国家はなぜ衰退するのか(上)(下):権力・繁栄・貧困の起源』↓です。
この本はまあまあ長く・専門的な本なので、実は、当初書評では紹介をするつもりはありませんでした。
しかし、著者のダロン アセモグル氏・ ジェイムズ A ロビンソン氏が昨日、2024年のノーベル経済学賞を受賞したことを記念して、この書評を書くことにしました。急いで書いたので微妙でしたらすいません。。。
Point(主張)
国家の繁栄や衰退は、その国の「制度」によって決まる。
『国家はなぜ衰退するのか』は、なぜ豊かな国と貧しい国が存在するのかを解き明かした本です。
その核心にあるのは、国家の制度がどれだけ包括的か、あるいは収奪的かということです。
つまり、国民が政治・経済等に参加しやすく、公平な制度を持つ国は繁栄しやすく、一部の権力者が政治・経済等の利益を独占し、他者を排除するような制度を持つ国は衰退しやすいということです。
Reason(理由)
政治・経済の制度が人々の行動を左右し、国家の運命を決定するから。
アセモグルとロビンソンは、制度がどのように国家の運命を左右するのかを具体的に解説しています。
豊かな国家は、市民が自由に政治・経済活動を行い、自らの努力によって豊かさを追求することができる制度を持っています。
その一方で、貧しい国々は、権力者が政治・経済活動を独占し、市民から収奪する構造が制度的に存在することが多いです。
政治や経済の自由が制限され、個人が成果をあげるためのインセンティブが抑えられている場合、その国は長期的に見て発展が難しくなります。
Example(具体例)
ノガレス(米国側)とノガレス(メキシコ側)の違い。
本書の中でも特に印象的なのが、メキシコとアメリカの国境に接する2つの「ノガレス」とい町の事例です。
両方のノガレスは、地理的には隣り合っており、同じ民族が住む等非常に似通った地域ですが、発展の度合いには大きな差があります。
アメリカ側のノガレスでは、医療や教育がもう一つのノガレスと比較すると相対的に充実しており、生活水準も高いです。
一方、メキシコ側のノガレスでは、アメリカ側に比べると貧困や犯罪が蔓延しており、公共サービスの質も低いのです。
この違いを生み出しているのは、まさに「制度」です。
アメリカ側のノガレスでは包括的な制度が人々の政治・経済活動を促進し、メキシコ側のノガレスでは収奪的な制度が発展を阻害しています。
Point(再主張)
国家の繁栄には、包摂的な制度の整備が不可欠である。
本書を通じて学べるのは、国家の繁栄を決めるのは地理や文化ではなく、政治・経済制度であるということです。
市民が自由に参加し、発展を目指せる制度を作り上げることが、貧困の連鎖から抜け出すための鍵であり、繁栄を築くための道筋です。
アセモグルとロビンソンの分析は、私たちに国家の成長や衰退の根本的な原因を再考するきっかけを提供してくれます。
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