死んでいる現場
なぜ「死んでいる現場」が増えているのだろうか、6つの危機的症状。
☑️経営において本質的に大事なことは、たったひとつ。
✔️本質で「生きている」か「死んでいる」かが重要である。
「会社は生きていなければならない」ということ。
生きている会社と死んでいる会社をどう見分けるか。
それは「現場」を見れば一目瞭然である。
会社は価値創造を営んでおり、その最前線が「現場」である。
「生きている現場」は活気があり、そこで働く人たちの目がイキイキとしている。
その「現場」の活気が乏しく、そこで働く人たちの目が死んでいたら、競争力ある魅力的な価値など生まれるはずもない。
✔️「死んでいる現場」
物流の現場
小売りの現場
サービスの現場
✔️具体的な例
航空会社でのパイロットから基準を大きく超える血中アルコール濃度が検出され、逮捕されている。
☑️よくある6大危機NG
①未来の目標・ゴールが定まっていない
✔️「死んでいる現場」はきわめて近視眼的で、目先のことばかりを気にする。
⏺️「今日の出荷をどうしよう」
⏺️「顧客のクレームにどう対応しよう」
今起きている事象を、「なんとかこなす」ことばかりに目がいきがちである。
「現場」は価値創造の当事者だから、今日、明日のことを考え、実行することは重要である。
決められたノルマを果たすことは、「現場」の任務である。
しかし、それだけでは「現場」に活力は生まれない。
「生きている現場」になるために重要なのは、ワクワクするような「未来への共感」である。
そのためには、目指すべき「未来像」を大きく掲げ、「現場」と共有しなければならない。
未来の目標・ゴールが定まっていなければ、「現場」はその日暮らし、その場しのぎを繰り返すだけである。
②外を見ようとしない
✔️「現場」は閉鎖的かつ同質的な空間であり、集団である。
外の世界に関心が薄く、外を見ようとしない。
自分たちを取り巻く環境の変化にきわめて鈍感である。
自分たちだけの世界に閉じこもり、内向きになり、内部の論理ばかりが幅をきかせるようになる。
会社は変わりゆく環境の中で、変わり続けなければならない。
そして、現場も「生きている現場」として環境変化に対応できなければ、会社が永続することはありえない。
「死んでいる現場」は自分たち以外の世界が大きく変わろうとしている事実を知ろうともしない。
外を見ないのだから、刺激を受けることもなく、学習しよう、自分たちを変えようという意欲が湧いてくるはずもない。
③「過去の常識」に凝り固まっている
✔️「過去からの自分たちの常識がいかに今の世の中とずれているか」に気づくことがない。
「これまでの常識が正しい、これまでの常識でこれからもやっていける」と勝手に思い込んでいる。
「現場」は日常的なオペレーションに従事しているから、これまでの「常識」を否定しにくいのは事実である。
「過去の常識」どおりにやったほうが無難で、リスクもなく、楽である。
今の「生きている現場」に求められているのは、「過去の常識」を否定し、「新たな常識」を生み出すこと。
過去の成功体験がもたらす「過去の常識」ほど、会社の進化を妨げるものはない。
「過去の常識」をむやみに信じることは、思考停止を意味している。
思い込みほど怖いものはない。
④惰性に流されている
✔️多くの会社の「生きている現場」ではオペレーションの品質を高めるために、さまざまな活動が行われている。
⚠️5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)
活動、改善活動、QC(品質管理)活動。
効率化や業務品質を高めるための活動が長年にわたって実施されている。
「現場」の基礎体力を磨くとても重要なものである。
「死んでいる現場」ではこうした活動が形骸化し、やらされ感ばかりが蔓延している。
何のためにやっているのか、なぜこうした活動が必要なのかを理解もせず、「上からやれと言われているからやっている」といった惰性に流されている。
放置したままで「現場」の士気は上がらず、成果が上がるはずもない。
⑤モノを申さない
✔️多くの「死んでいる現場」では不満や不安が渦巻いている。
人手が足りない、設備投資してくれない、方針がコロコロ変わるなど、経営に対する不信感が根強い。
「現場」が主体的にモノを申し、発言したり、提言したりしているかといえば、そうではない。
陰でこそこそ文句を言うことはあっても、上司や経営陣にモノ申すほどの気骨はない。
「現場」は価値創造の当事者であり、主役である。
「生きている現場」は未来に向かって、建設的、前向きな意見をどんどんあげている。
⑥「変なプライド」だけはある
✔️「死んでいる現場」はモノを申すことはしないくせに、「変なプライド」だけは高い。
自分たちが会社を支えている、過去にはこうやって成功してきたという歪んだ自負心だけが突出している。
自分たちの仕事に誇りを持つことは、間違いなく仕事の品質を高める。
「プライド」と「自慢話」は違い、過去の自慢話ばかりをとうとうと語る「変なプライド」は、「現場」の進化の邪魔をする。
「生きている現場」にある真のプライドとは、過去の成功体験をあっさりと捨て去り、未来に向かって突き進もうとする心の持ちようのこと。
⚠️重要論点⚠️
☑️現場が「死んでいる」状態になっている原因の多くは、実は「現場」にあるのではない。
☑️その真因は経営トップや本社、本部にある。
☑️経営トップが夢やビジョンを語らず、本社、本部が構築する制度や仕組みが機能不全になっているために、さまざまな問題が症状として「現場」で露呈するのである。
☑️「現場」自らも大いに反省し、変えるべきことは変える、正すべきは正すことが求められる。
☑️「死んでいる現場」という事象を「現場の問題」に矮小化してはならない。
☑️「現場」はこれまでも、そしてこれからも日本企業の屋台骨であり、根幹である。
☑️その「現場」を元気にし、強くし、そして会社の主役にすることが、すべての日本企業に求められている。
☑️「生きている現場」をつくることは、全社を挙げて本気で取り組むべき最重要な経営テーマである。
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