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【私小説】スタンドバイミー症候群

一番遠く


6月17日  夕刻。

私  生まれた。

千葉県とある市。泊産婦人科。

 人生で一番古い記憶って何だろうか。度々考える。

 

私は生まれてからしばらくの間、市内の乞田という土地に暮らしていたらしい。

おそらくその土地での記憶は無いものと思う。

今、私の中にある一番古い記憶は、乞田から市内の富士見台という場所にある父の実家に、両親と姉と4人で引っ越した後の記憶、数年後には私も通う事となる市立富士見台北小学校に姉を迎えに行ったときの記憶だ。確か、父と2人で姉を迎えに行ったら姉はすでに下校しており、逆に姉が母と共に私達を迎えに来てくれた、というものだ。その時の母と姉が手を振りながらこちらへ近づいてくる影画が思い出される。確かな事ではないが、このあたりの記憶が今の私に残る最も古い思い出なのではないかしら。姉は私より5つ、学年で6つ年上なので、私が片言の日本語を話し始めた頃にでも小学校2~3年生の姉を迎えに行ったのだろうか。

 

その頃の記憶と言ったら他に、建築業を営む父が自宅の布団の上で図面を描いているのを私が邪魔して(いや、なんで布団の上で図面引いてるん?)怒鳴られ、大泣きした記憶。

 

姉の授業参観だか二者面談だかに連れていかれ、小学校の校舎内で迷子になった事などが思い出される。あの時は、無限にも見える教室のドアを開けても開けても目的の部屋、母が居る教室へは繋がらず、とある教室のドアを開ける度に見ず知らずの教師が冷たい視線でこちらを見てきたわ。

全く関係のない教室を幾度も何度も開けてしまったのだから無理もないのかしら?

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