月のころはさらなり|2020.6.10 日記
「夏は夜」とはまさに。枕草子。清少納言が捉える四季。あれがとても好きだ。1000年も前の人の季節に、そうそうと言いたくなるなんて、ちょっと不思議だし素敵だ。
時代は令和だし、都会っ子なので、蛍を見てああ夏は夜だな、なんて思うことはないけれど、夏の夜の空気が好きだ。花火大会とか夏祭りの帰り道とかの、おセンチな思い出が紐付いてるのかもしれない。暑さの中に、ふいに溶け込む夏の夜の澄んだ空気。どこかの夕飯の匂いも、日が陰った夏の夜に混じるといとおかし。いや、冬の空気に漂う方が好きかもしれない。
夕暮れ時の夕飯の匂いベストシーズンを考えてみたけれど、春も秋もいとおかしで決めがたい。どこかの家の夕飯の匂いとお風呂の匂いは、いつもこっそり私のガチガチの心臓を緩めてくれる。
コインランドリーの匂いも捨てがたい。
そうは言っても夏は苦手だ。嫌いではないが苦手。いよいよ太陽が「夏ですけど」と言わんばかりの紫外線を放ってる。視界からして暑い。冬生まれには夏を乗り越える機能が備わってないのではないかと思う。
「この季節は、うちの子、さがっちゃって〜。」
おしゃべりなお客さんがやってきてそんなことを言った。「この時期はダメだね、いつも。ドーンと落ちて。わはは。」
ああ〜時期か〜。そういえば、去年限界突破してワンワン泣いていたのも今ぐらいかもしれない。そしてこの時期は彼がモロに「ダメ」な時期で、気温も湿度も気圧もひっちゃかめっちゃかで、確かに平穏に乗り切れた記憶がない。
「ドーンと落ちて。わはは。」と笑い飛ばしたその人に、勝手に少し救われた。
「季節のせい」とか「〇〇のせい」で片付けないで!と自分の苦しさを一言で纏められることが許せずにメソメソすることもあるけど、「時期が悪い。わはは。」とスコーンとひっくるめて受け入れてしまうことも時には大事かもしれない。
どちらも自分に都合よく使えばいいじゃない。
なにはともあれ、ドーンと落ちてるので、少し頭が動いた今日のうちに病院の予約を早めた。落ちると何か手を打つという選択肢がごっそり消える。テレビの電源を入れるとか。部屋の明かりをつけるとか。水分を取るとか。除湿をつけるとか。湿度が下がったら気持ちが落ち着いた。
梅雨入る季節。皆さまご自愛を。