父と電話をした|2020.4.9 日記

海外にいる父から電話がきた。珍しい。いつもは海外の太陽の下、無邪気にアウトドアを楽しんでいる写真くらいしか送ってよこさないのに。

ニュースを見て、日本での惨状を心配して電話してくれたようだ。


「パパ、海外にいくよ!」

といってW受験を控えた私と妹を残して海外に飛び立ってからは、2〜3年で帰国すると言ってたわりに帰ってくる気配などさらさらなく、今日まで海外で元気に生活している父。年末年始と出張の時くらいしか日本に帰ってこない父。
そんな間にもう私も妹もバリバリ社会人である。時間の流れ。

両親不在で迎えた姉妹の受験は今では笑い話だ。受験の一週間前に体調を崩して入院してしまった妹の、お見舞いに行ったり、人生で初めて入退院の手続きをしたり、慣れないタクシーで慣れてる感じを精一杯だして家まで妹を連れて帰って、おじやを作ってあげたりしたことが懐かしい。まだ中学生だった妹は、ギリギリ小児科病棟に入院させられて、小さなお友達を何人か作っていた。


「パパとママ、どっちと暮らしたい?」

という問いに、苗字が変わらないことと、お金の心配をかけなさそうという理由だけで、ほぼ会話もしない父についていくことを選んだ現金な私だけど、そのおかげで父とも疎遠にならずに今もこうして仲良くやれている。もともと女同士で連絡もマメな母とは、別に家が違ってもどうにかなると思っていた通り、今でもぼちぼち交流があり、ぼちぼち仲良しだ。

父というより、自由奔放な兄のような父とは、父と妹と三人で暮らしていた時も特段の思い出はないし、海外のくだりもあって結局もう何年も一緒に暮らしていない。でも今ではその距離感が功を奏して普通にいろんな話ができるようになった。話をするようになってからは、父は結構おもしろい大人だな、と思っている。


父のいる国でのコロナ対策の先進さと、今の日本の現状を話した。

「とにかく元気なら良かったよ。〇〇の仕事のことだから忙しくなってると思うけど無理しないでね。」

「いーっぱい食べていーっぱい寝て、元気でいるんだよ。なにかあったらいつでも相談してな。」

珍しく何度も何度も父親みたいな心配をしてくれるものだから、今週の疲れも相まって、意外と心に沁みる。

でも木曜の夜なんかに心の緊張を解いてくれちゃわなくてもいいのに。今はちょっと沁みすぎて、気を抜いたら泣いちゃいそうだ。


嬉しい悪態をつきながら、ありがとうと思った。こんな状態だから今度いつ会えるか分からないけど、こんなに次会うのが楽しみなのは久しぶりかもな。会ったらいろいろ話そう。ありがとう。

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