2/10 調子が空回りした日の日記、飲み会
でた、空回りの日、とギリギリ駆け込んだ通勤電車の中で思った。調子の良い昨日を終えた私は、浅い眠りを経て、無理矢理エナジードリンクを飲んだみたいな状態になっていた。鼓動は早くて、目はらんらんして、身体はエンジン全開なのに、頭が使い物にならない日。
ひたすらとりあえず目の前にある「あとは処理だけ」の仕事をする。「これから働きかける」仕事は全くできない。電話に応答することはできるのに、いざかけようとすると受話器が遥か彼方に思える。ダイヤルさえしてしてしまえばこなせるのだろうと思いながら、頭は同じところをぐるぐる回って、終いに無になる。一丁前に焦りだけ大きくなる。「あとは処理だけ」の仕事を片付けた私は、「やらなきゃやらなきゃ」と立ったり座ったり忙しなく動いたまま、ほとんど仕事を前進させることなく退勤した。
まだまだ動ける身体と、それに全く付随しない頭のギャップに、トイレの中で絶望する。こんなことなら身体もいつものように動けなければいいじゃないか、と悪態をつき、ありあまるエネルギーの中で絶望感だけが大きくなる。サイアクだ。「本当は休職した方がいい状態だと思うよ」という主治医の言葉がチラつく。「騙し騙し」を選んだのは私だけれど、いっそ強制してくれればいいじゃないか、誰か、「もう無理」と言ってくれ。
夜は職場の小さな飲み会だった。大好きな同期の送別会。「最近体調悪いみたいだけど大丈夫?」と気にかけてくれたあの人やあの人。みんな意外と見ていてくれている。「いや〜そんな!すみません大丈夫ですよ〜」と笑う私。いつも高い高い壁を作り、歩み寄らないのは私の方だ。いつも誰かが手を差し伸べてくれている。なのに、その善意を跳ね除けて無かったことにするのは、いつもいつも私の方じゃないか、と泣きたくなった。誰かが撮ってくれた写真の中のこの日の私は、スナックで楽しそうにおじさんと踊っている。
飲み会が終わり、同期だけでファミレスに行く。こんなに素晴らしい仲間がいるなんて最高だ、と私達はお互いに思っている。その一人の喜ばしい門出が一ヶ月後に迫っている。「泣きそう」と言う同期に激しく同意したまま、気持ちの悪いくらい感情が死んでいる。お酒が抜けた私は、頭も心も真っ白だった。こんな大切な出来事にも微塵も反応しない今の私に虚しくなった。あとで心を取り戻した時に、ちゃんとこの日を噛み締めてほしい、と未来の私に託します。