四月十三日 彼女たちのこと
人見知りで
心配性で
神経質なあの子
それなのに彼女が人前で踊ったから
みんな
口さがなく批判したものだ
人嫌いで
喧嘩ばかりして
考え事に耽っているあの子
それなのに彼女が大人しいあの子と笑っていたから
みんな
大人しいあの子を問い詰めたものだ
引っ込み思案で
一言も話さず
指一本も動かさずじっとしているあの子
それなのに彼女が見事に泳ぐから
みんな
あの埠頭は呪われていると噂したのだ
生きづらいことから目を逸せなかった彼女たち
自分からも目を逸さなかった彼女たち
彼女たちも一時は心配したのだ
死ぬまで私の上履きが濡れていたらどうしよう
毎朝ずっと涙が出てきたらどうしよう
この世の中の人全て、この教室と同じだったらどうしよう
彼女たちは踊った、彼女たちは笑った、彼女たちは泳いだ
そうして
彼女たちは今日も踊っている、笑っている、泳いでいる