すべての苦しみのもと。
老夫婦で労わりあいながら暮らしてる。
老夫婦と言うにはかなり早いけど、まあ空気はそんな感じ。
そんななか、ひとりで旅行に行ってきた。
漫才コンビ「和牛」の2年ぶりの単独ライブが当たっていたのだ。行き先は愛媛。
愛犬のことがあってからすべてのことに気力がなく、準備もなかなか進まなかったのだけれど、内子町というところに涅槃仏のあるお寺があるということがわかり、思い切って行くことにした。
一度見てみたいとおもっていた涅槃仏、そして和牛の番組のロケ地だったことが大きく背中を押してくれた。「推し」ってすごい。
ひとりで旅行に行くとき、以前なら愛犬の世話の細かい指示とお願いを家族にして出かけていた。お願いをしていったところで、ご飯よりお菓子が多めの食生活になることは分かりきっていたのだけれど、食の細い愛犬がわたしが帰るまでの間、なんとか無事でいられるようにと出かける前からあれやこれやと考えるのが常だった。
そして旅先からも愛犬の様子をたずね、帰路につけば早く帰りたい会いたいと、心は早足になっていた。そのすべてが今はない。
旅先では、常に愛犬を探している自分に気がついた。以前ならまったく興味のなかった犬のイラストのタオルとか、小さい子ども向けの犬のぬいぐるみとか。世の中にあふれている可愛らしい動物の絵入りグッズは、今のわたしのような探してるおばさんのためにあるのかも。
今週末でやっと四十九日。このまま行くと、家のなかはなんとなく愛犬に似てるグッズであふれるかもしれない。涅槃仏に、すべての苦しみのもとは「もっともっと」という欲であると諭されたばかりだけど、まあいいや。