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中国の塾禁止・教育格差是正から、日本の問題も見えてくる

中国といえば、日本以上の詰め込み教育と競争社会ーーそんなイメージをお持ちの方も多いのでは。

その中国で「中国版ゆとり教育」が始まったと報道されています。
しかしシンガポールとは異なり、その実態がなんなのか。私は中国を知らないし、言葉の壁もあって、今ひとつわかりませんでした。

日本人ジャーナリスト中嶋恵さんの記事が興味深かったです。

日本では「中国版ゆとり教育」との報道もあったが、小中学生向けの新規の学習塾の開設が禁止され、大手学習塾チェーンが次々と閉鎖された。高校生の教育に関しては対象外だったが、政府がこのような方針を打ち出した背景には、富裕層が子どもの教育に莫大な費用をかける一方、教育費を捻出できない家庭からは不満が広がっている問題があり、格差是正をすることが主な目的だ。

目的は「格差是正」にあるというのです。

同時に、中国社会も「何がなんでも一流大学へ」では無くなってきているらしい。

記事をよく読むと、日本の抱える問題にも通じることがわかってきました。

丸暗記の詰め込み教育から、全人的な素質教育へ

中国の教育も「暗記教育」から、「全人格的教育」に向かっているそうです。
全人格的教育と言っても、「自分の頭で考える人間」を育てる西欧的な価値観とは少し違うらしい。

学生の意識変化をもたらした要因の2つ目は、2001年に中国教育部が打ち出した「基礎教育課程改革要綱」の発布だ。従来、科挙の伝統からあった丸暗記の学習を中心とする応試教育(受験のための詰め込み教育)が主流だったが、人間性を育て、全人格的な教育を行う素質教育が重視されるようになってきた。具体的には外国語教育と芸術分野、スポーツ教育の充実だ。

芸術・スポーツーーもしかしたら、目指すのは、むしろ日本の教育に似ているのかも? 

このような素質教育の影響で、「勉強一辺倒で、1日10時間以上、机にかじりつく」といったイメージが強い中国の学生たちの学習環境はかなり様変わりし、本人たちの意識も変化している。

しかし子どもは良くても、親の方がどうなのか。果たして自分達の時代と違うものをすんなりと受け入れているのかが気になりますが、強権的に宿題や塾を禁止されてしまう以上、変わらざるを得ない側面はアリそうです。

Z世代の若者の間では「親のメンツのためだけに有名大学に進学することは無意味だ」といった考え方も広がってきており、親のほうも、以前に比べれば、本人の希望に耳を傾けるようになってきている。

どうやら若者の方がしっかりしているようです。

「大卒」で稼ぐことが難しくなりつつある

しかしなぜ「一流大」への意識が下がっているのか。

原因の1つが、大卒者の就職難であると言われます。
「大学卒業、イコール失業」となっているそうなのです。

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