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増える「山村留学」「漁村留学」体験。実際に宮城県と熊本県の施設を見てみた

こんにちは。

国内留学がじわじわと盛り上がっています。

一昔前から、「山村留学」などと呼ばれ、親元を離れて田舎で暮らしてみる体験がありました。

最近では英語を軸にしたもの、自然体験を売りにするものなど、留学のバラエティが増えてきて、子どもが地元を離れて体験をしたり、「第三の居場所」を作ろうとする動きがあるようです。

日経MJ 2022年10月12月号(紙メディア)では「国内留学」を取り上げています。その中では、北海道厚沢部(あっさぶ)町認定子ども園で受け入れている1週間からの保育園留学や、長崎県の五島列島の子ども向け 体験付きワーケーションプログラムなどと共に、石巻市の雄勝町にある「モリウミアス」が紹介されていました。

今回はこの「モリウミアス」の漁村留学にご招待いただいて、お子さんたちと一泊、過ごしてみました。

宮城県石巻市の子どものための複合施設での「漁村留学」

留学対象年齢は、小学校四年生から中学校三年生まで。
現在は、小学校5、6年の子が3人、親元を離れて共同生活をしています。

漁村留学に登録した子どもたちは1年間、地元の公立小学校に通いながら、ここ雄勝での田舎暮らしを体験します。ビオトープや田んぼ、ハーブの小さなガーデン、鶏小屋があり、地元の漁師さんから魚をいただいて捌いたり、海で釣りをしたり、タコを捕まえたりしてます。

「モリウミアス」の特徴は、「自然と共に生きる」。
そこに待っているのは、かなりワイルドな生活体験です。子どもたちが過ごす場所には土間があり、みんなで過ごす和室があり、2人部屋、個室もあり、どの部屋を誰が使うのかも話し合って決めるんだとか。

招待をいただいて一泊、子どもたちと過ごしてみました。

子ども達は学校から帰ってくると、薪をお風呂を沸かし、かまどでご飯を炊きます。私が宿泊したときは、小学生の子が慣れた手捌きでアジの刺身とサバのハーブ焼きを作ってくれました(レシピは自分で考えたのだそうです!)。私も包丁の使い方を彼から教えてもらいました。

子どもたちが調理をする台所


薪でお風呂を沸かしているところ
夕食メニューは冷蔵庫にあるもので工夫
盛り付けや付け合わせも自分で考えた

夜はお風呂が終わってからみんなでボードゲームで遊んでもらいました。

朝も6時ごろから起きて、掃除や炊事を済ませて、台所をきれいに片付けてバスで登校。
学校まではバスで通いますが、現在、子どもの数が少ないため、複式学級です。

このほかにも冬はシカを仕留めてジビエ料理を教わったり、2泊3日「ノンインフラデー」ということで、ガス、水道、電気を使わない暮らしをしたりするんだそう。この時は、ソーラーライトと蝋燭、そして水は沢の水を沸かして飲む体験をするんだそうです。

廃校を5000人以上で手作り再生

「モリウミアス」自体はすでに10年運営されていて、夏休みなどの7泊8日プラン、週末プラン、大人の研修などをやっていました。

当初は東日本大震災の被害を受けて、人口が4300人から1000人以下まで減ってしまったそうですが、この地にかつてあった廃校を5000人以上の人が2年半かけて手作りで再生。

2年前から1年単位の「漁村留学」を開始しました。

費用はプログラムに寄りますが、一泊2万円、1ヶ月だと14万円ほどかかるそうです。

このプログラムを作った安田さんは、「ハードなプログラムを見て、うちの子には無理です」とおっしゃる親御さんが多いんですが、まずは数日でも体験させてみてほしい」と言います。最終的には「自分で来たいと思う子しか受け入れていない」とのこと。

安田さんは、もともと千葉の柏市で育ち慶應大学に進学。就職時にたまたま、雄勝町にボランティアに来たのです。

当時は「ゼロかイチか、レールから外れたら自分は終わりだと思っていて息苦しかった。ボランティアでここに来たら、食べ物がふんだんにあり、(大企業で勝ち抜かなくても)生きていける環境があるとわかった」と振り返っています。

増える国内留学プログラムと「第三の居場所」

少し前に熊本県山都町で泊まった「コンパスラボ」という民泊でも、やはり「保育園留学」を1週間から受け入れています。

ここは農村にある民家に親子で滞在しつつ、近くにある保育園に受け入れてもらうというもの。


裏の竹山から採ってきた竹で竹細工をしたり、農村を散歩したり、水を汲みに行ったりと、自然の中でゆっくり過ごす印象でした。

以前行った長野県松本市でも、国際バカロレアの学校に東京から移住してきた「国内移住組」の方とお会いしました。

期間は2、3泊、1週間といった短いものから、1年単位と長いものまでさまざまですが、私が子育てをしている時期と比べると、随分といろんな選択肢が出てきたなーと思います。当時は探そうにも、そんなに選択肢がなかったのですよね。

また、地域にある『青少年自然の家』、『少年自然の家』でも似たようなプログラムがあるようです。
私自身は近所にあったボーイスカウトに子どもがお世話になりましたが、自然体験が主体でした。

問題は費用です。「体験格差」が新たな格差になるのではないか、という懸念もあり、こうした「第三の居場所」に対して助成をする団体も現れています。

都会の学校に人数が増えすぎて先生が一杯一杯になっている一方で、地方は過疎化で子どもの数も少なく、学校側の受け入れ余裕があるのかもしれませんし、人数が少ないからこそ、思い切ったことができるのかもしれないですよね。

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