学校教育で身に付く能力と、失われる能力。今、不登校の人のチャンスは限りないかもしれない
最近、とある大学の先生と「今、日本で不登校の人のチャンスはとてつもない」って話をしました。
学校教育で身につくのは「手足になる能力」
以前、私は、
「ブレーンになる人」「手足になって働く人」の両方がいて、社会って成立してると思う。
って書きました。
マレーシアの会社を見てても「全員がクリエイティブ」ってトコはない。トップダウンの企業がけっこう多いです。
そしたら元アップルの松井博さんが、
でも僕、「手足」であることのリスクって今後かなり大きくなると思うのです。
そして学校で教えるのが可能なことは、AIにやらせることができるようになります。それが一見、どんなに高度な仕事に見えてもでもです。
と書かれてました。
そうそう。
松井さんがおっしゃる通り、主に学校で教えてくれるのは「手足になる」方法です。
先生が言われた通りに作業する、
宿題を出す、
規則に従う
ーー全部そうです。
だから、優秀な大学に行った人は、「我慢ができる人」なんです。
学校教育は「プロイセンモデル」から始まった
学校教育や受験勉強は多かれ少なかれ(海外でも日本でも)このタイプです。
学校教育自体が、「工場や軍隊で働く人」を想定されて作られてます。
トイレに行くのに許可を取るのは、そのころの名残です。
「カーン・アカデミー」創始者のサルマン・カーンによるとこれ「プロイセンモデル」と言われるそうです。
ねらいは、自分の頭で考えられる人間を育てることではなく、忠実で従順な市民を次々と生み出すことにありました。両親や教師、教会、そして神の権威に従うことがいかに大切かを知りなさい、と。
学習内容全般が「教科」に細分化されたのは偶然ではありません。教科は丸暗記できますが、もっと大きな概念を習得するには自由で束縛されない思考が求められます。
同じくガットによると、「授業時間」と言う神聖なる枠組みは、「絶え間ない中断により学習の自発性をそぐ」ために導入されました。生徒たちに所定のカリキュラム以上のことを考えさせたり、異端の危険思想を話し合う時間を持たせたりしてはならない。チャイムがなったら有無を言わさず会話や思考を中断させ、予定された次の回へ進ませる。(「世界はひとつの教室」サルマン・カーン)
驚きますか? 教育は当時、支配階級に従わせるための一つの方法でした。ただ、カーンは「当時にしては革新的で平等主義だった」とも書いています。
海外でも「完全に自由な学校」はない
さて、海外でも学校教育は、「誰かの意図通りに何かをする」ことができないと成立しません。
どんなに自由な学校でも「まったく学校に来なくてもいいし、試験も受けなくてもいい」とはならないです。
なので、「今不登校の状態にある人」で「学校に戻りたくない人」がめざす一つのヒントがここにあるのでは?
「ブレーンになる人」を目指したら良いのでは? って思います。
不登校の状態で目指せるプログラマー
以前、日本の教育関係の方が、マレーシアで長男のプログラミングスクールを見学に来たとき「日本に不登校児が十万人以上いる」と言ったら、イラン人の先生たちは驚いてました。
そして、「不登校の子たちは、家で何をしてるんですか?」と聞いたんです。日本の先生は「ゲームをしたり、インターネットをしたりしています」と答えたのですね。
イラン人の先生は「その子たちになぜプログラミングを教えないんですか」って聞きました。
「だってゲームやパソコンが得意だったら、そうするのが一番いいじゃないですか。チャンスですよ。彼らにプログラミングを教えて先生になってもらうのはどうですか」と。
このアイデアは予算の都合で実現しませんでしたが、私は今でもこれが一つの回答だと思います。
プログラマーになるために重要な能力の一つが、「ビデオなどで(一人で)自学する能力」です。ほとんどのプログラマーが動画チュートリアルなどで自学するからです。ある程度、コツコツと自分で作業する能力も必要です。ゲームをある程度知っていることも役立ちます。
長男は学校にいかず、ビデオでの自学方法を徹底的に訓練しました。
しかしこれ、やろうと思えば、自分でもできると思うんですよね。
ただ、英語ができないとプログラミングを学ぶのがかなり困難です。
イラン人の先生たちもいつも強調していたことですが、Pythonって文法が英語に似てるから、英語がわからないと二重の意味で苦しいかもです。だから、彼らも母語のペルシャ語は使わず、英語で話していました。
もちろん、プログラミング以外にも、いろんな方法があると思います。
ただ、プログラミングって子どもでもお金を稼げるくらい、仕事がある世界です。そして今「ブレーンになる」には必須の能力です。世界のトップ企業の社長の多くがプログラマーです。
不登校で行き先がないと嘆いている前に試してみるの、悪くないと思います。
それではまた。
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