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衰退した社会では、家族の形を変える必要があるんじゃないかな……

日本に住んでいると、冗談ではなく強盗が身の回りに起きています。先月もほんのすぐそばで空き巣が数件起きています(もう、空き巣くらいじゃ報道されないのかも)。

報道で犯罪に加担した方々の理由を聞くと「お金がない」が圧倒的です。
特に、若い人々が本当に貧しくなっているようなのです。

日本にこんな日が来るとはちょっと思っていませんでしたが、まさにシンガポールの故リー・クアン・ユー氏が日本について自著でかつて予言したように「純潔にこだわるコミュニティは衰退する」「日本は坂を転げるように悪くなっていくだろう」が現実になってしまいました。

三菱総合研究所のレポートによると、「現在の社会において満足していない点は何か」という設問に対し、「経済的なゆとりと見通しが持てない」と回答した割合は、2023年の20代、30代で70%以上になっています。(https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20240617.html

そして、

消費性向を下げ止めるためには、若年層の経済的不安を緩和させることが重要だ。

https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20240617.html

とまとめています。

ちなみに、デービット・アトキンソン氏は、日本の大卒の給与は、最低賃金の1.31倍であると驚いています。

日本の初任給の上げ幅は非常に緩やかで、1993年以降、30年間の平均引き上げ率は、わすか0.63%です。具体的な金額では19万300円が、30年後の2022年になっても22万9700円にしかなっていません。
1978年から1994年まで、大卒男性の初任給は最低賃金の2倍以上でしたが、2019年には過去最低の1.48倍まで低下しています。また、最も高水準の東京の最低賃金と比べると、2019年には全国の大卒男性の初任給は1.31倍にまで低下しました。
つまり、日本では大卒男性ですら、最低賃金の1.31倍程度の給料しかもらえていないのが実態なのです。

東洋経済オンラインより

賃金が据え置かれる一方で、特に光熱費とか家賃とかは馬鹿みたいに上がっています。社会保険料も高額です。

つまり、本当にこの国の人々は、知らぬまに貧しくなっているわけです。
となると、社会の意識もあらためていく必要があると思うのですね。

若者の「都会で一人暮らし」に無理があるのでは

そろそろ、先進国の都市型ライフスタイルから、発展途上国のライフスタイルを参考にする時期かもしれません。

マレーシアでも若者の給与はまだまだ低いです。
しかし、彼らがなぜ生きていけるかというと、「家族で助け合うから」じゃないのかな、と思っていて。

そもそも、西欧のように「大人になったら家を出るべき」という思想が薄いのです。そのため、成人してからも元の家に一緒に住んでいる人が多いです。家にかかるコストが比較的安いので、7人家族だと、「家族のうち1人か2人が働いていれば、なんとかなる」という思想みたいです。

先日話を聞かせてもらった、マレーシアで車の雑誌のライターをやっている男性、30代ですが、実家暮らしですし、今度一緒に旅行する予定の家族の長男も、大学を卒業しましたが、今も実家です。友人とシェアハウスをして住んでいる友人もいます。これだと光熱費などが抑えられますし、実家にお金を入れて、「助け合って」生活しているわけです。

一方で、シンガポールや香港などで仕事を見つけて国を出た人々は、一人暮らしの傾向が強いかな……。

一人暮らしをする人はまだ少数で、ワンルームマンションのような物件も、ファミリータイプの物件と比較して決して安くないという事情もあるとは思うのですが……。

もしくは家賃の安い田舎で、周囲との人間関係をつくれば、食べていくことは可能です。

先日行った宮城県の石巻市雄勝町の若者が、「ここでは地元の人と良好な関係を作ってコミュニティに入れば、お金がなくても生きていける」と言っていました。彼は千葉に育ち、中高一貫校を経て慶應大学を出ていますが、持続可能ではない暮らしの限界に気づき、すでに10年、石巻市で生活しています。これを「社会関係資本」というのだそうです。

また、奨学金を数百万借りて返すのも、そろそろ考えたほうがいいかもしれません。かつて私も借りましたが、それを返すのは、この国に働いている限り厳しいかもしれません。

「家族が最後のセーフティネット」という時代に戻る

介護や医療が破綻した場合にも、松井博さんが指摘しているように、おそらく家庭でやるしかなくなるでしょう。結局は、昭和初期のように、家族を最後のセーフティ・ネットとするしかなくなるんだと思います。

日本の場合、この家族の解体がすでにだいぶ進んでしまい、人々の意識が先進国のままなので、そこへ戻っていくには相当の変化が必要なのですが……。

イノベーションが起きず、国の経済が停滞し、老人が増える一方なので、ライフスタイルを、身の丈に合ったものに変えていく(つまり、時代を少し戻していく)ことも、必要になるのかもしれません。

書いてて嫌になりますが……。
どうやら多分、そういう時代に突入したんじゃないかな、と頻発する強盗事件を見ていて思いました。

それではまた。

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