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人間を大事にしない日本というシステム

たまたま読んだ2冊の書籍に奇妙な符合がありました。

1冊はニュージーランドに住む英国の人が書いたもの。
もう1冊は日本の軍事研究家の方が書いた本です。

日本は戦前と似ているという指摘


戦史・現代史研究家の山崎雅弘さんが書いた「未完の敗戦」(集英社新書)。

山崎さんは、ドイツとは異なり敗戦処理をしなかったことが、「大日本帝国型の精神文化」として現在の日本社会に引き継がれている、と指摘しています。

例えば、兵士が乗る飛行機や船に敵の軍艦へと体当たりさせ、敵艦への損害という「成果」と引き換えに死なせる、非人道的な問題解決法であった「特攻」が、なぜ今も「立派な行い」のように称揚されたり、自己犠牲の美しいドラマとして語り継がれているのか。その理由を掘り下げていけば、実は当時の「大日本帝国型の精神文化」が戦後も生き延びて、現在の日本社会でも生き続けているからだ、という答えにたどり着きます。
山崎雅弘.「未完の敗戦」

もう1冊が、ジェームズ フィッツロイさんの「ガメ・オベールの日本語練習帳」(青土社)。彼は、外からの視線で、日本は「大日本帝国の正当な継承者と振る舞いだしている」と言っています。

こうした局面では、ドイツ人たちのように、自分達が30年代から40年代にかけてやったことについて考えを変更したわけではなくて、一応、相手の気持ちをそこねないように謝ってはみせたものの、ほんとうはきみだっておかしかったじゃないか、と社会ごと信じている日本社会の頑固さは、日本の致命傷になりかねない、と思う。ナチ・ドイツの最大の批判者としてふるまう戦後ドイツと異なって、日本は大日本帝国の正統な継承者として振る舞いだしている。

余計なお世話だけど
ジェームズ フィッツロイ「ガメ・オベールの日本語練習帳」

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