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よしもと「住みます芸人」KLキンジョーがYoutube100万回再生達成

日本人が海外のエンタメ業界に進出するのは本当に大変です。

そんな中、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属「住みますアジア芸人」KLキンジョーさんの動画が、YouTubeで100万回再生を達成しました。

登録者数も17万人。これはYoutubeから「銀の盾」がもらえる数字だそうです。動画は全編マレー語で、ファンも多くがマレー人だそうです。

これは最近の動画。

「住みますアジアプロジェクト」はアジアでエンタテインメント事業を展開するための吉本興業のプロジェクトです。

「住みますアジア芸人」全14組21名が、台湾、タイ、インドネシア、マレーシアへ、ベトナム、フィリピン、ミャンマーで日々アジアのスターを目指して活動しています。

筆者(野本)とキンジョーさんは、マレーシアで長らく同じ会社所属です。改めて取材させてもらいました。

最初は「早く日本に帰りたかった」

KLキンジョーさんがマレーシアに来たきっかけは、テレビの海外ロケでした。その後、日本には帰らずに一人だけ、2015年「住みます芸人」として、マレーシアに住むことになりました。

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しかし日本に帰りたくてしかたなかったそうです。

「海外ロケをしたい!!とは思ったものの、移住したい気持ちはまったくなかったんです」

当時は、英語もマレー語も中国語も不十分でした。

最初はマレーシアでタレント活動を目指し、英語のスタンダップコメディーに飛び込みました。しかし、マレーシアのお笑いの壁は厚く「英語で追いつくのは、無理だ」と感じたそう。

「覚えたての英語でコメディアンと同じ舞台に挑むのは、今思うと茨の道でした。しかし、英語のスタンダップに携われたおかげで、マレーシア人の’’笑いのツボ’’を掴めるきっかけになったのは間違いないです」

「英語以外にもう1言語習得した方がいい」と言われ


「マレーシアの友達から『英語のほかにもう1言語覚えたほうがいいよ』とアドバイスをもらいました。ただマレーの方にはマレー語、華人の方には中国語や広東語をすすめられるので、決めかねてました」

そこへ、マレー語を勉強するきっかけが訪れました。

2016年、マレーシアの日本観光ブームの仕掛けとして、日本とマレーシアの合同でテレビドラマを制作します。

テレビ局では、ちょうどマレー語を話せる日本人キャストを探していて、事務所の社長がKLキンジョーさんを推薦してくれたのです。社長はキンジョーさんがマレー語を話せると勘違いしていたそう。

「ところが、当時はまだマレー語をまったく勉強してなく慌てました。ただ推薦した以上取り消せないので、人づてでレストランのオーナーに頼んで場所を借り、客の呼び込みついでにネタを披露し、マレー語を学べる場を提供して練習しました

スーパーのレストランでマレー語を覚える

こうして、スーパーの中のレストラン前に場所を借りて、通り過ぎるお客さんから、マレー語を教えてもらいつつ、片言のマレー語と日本語まじりで、お笑いを披露する日々が始まりました。

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こうして、少しずつマレー語を覚えていたそうです。

ところが肝心の日馬合同ドラマには、結局同じ事務所の加藤ゆうみさん(2018年のミス・ユニバース・ジャパン)の出演が決定。彼女はマレーシア育ちで、マレー語が話せます。

諦めきれないKLキンジョーさんは、ゆうみさんと一緒にスタジオについていって、スタッフに自分を売り込み、なんとか出番を作ってもらうことに成功。マレーシアTV3のドラマ「J.K.K」への出演を果たしました。

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撮影セットでの一枚。キンジョーさんが出てくると、撮影スタッフたちが腹を抱えて笑っていました。

その後、キンジョーさんのマレー語が大きく伸びたきっかけには、ヤクルト・マレーシアの仕事があったそう。

ヤクルト・マレーシアが企画したお笑いとヤクルトをテーマにした巡業「Fiesta 2018」では1ヶ月くらいでマレーシアの各地を巡業。マレーシア人のヤクルトレディーさん達にコメディーを見せつつ、サポートする企画です。

ほぼ1ヶ月、マレー語しか話さない時期もあったそうです。

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マレーシアのオンラインサロン で動画を学ぶ

ただ、それだけで食べていくのは難しく、同時にお笑い以外の仕事もやりました。

便利屋をしてみたり、ときには、伊勢丹の地下で日本のお土産をプロモーションしたことも。

2017年にYouTubeを開始。しかし、当時はなかなか伸びず、行っても、再生回数は何百回止まりでした。

数年続けたのですが、萎えて諦めていたそうです。

2019年にはマレーシアのエンタメ業界の景気が悪く、1本も仕事がありませんでした。そこで2019年暮れから「このままではいけない」と一念発起し、再度Youtube投稿に向けて動きだしたそうです。

1月からは日本語チャンネルも開始、2020年2月から1週間に1回、マレー語のYouTubeを投稿するようになりました。

2020年の4月からマレーシアの動画プロダクションMTASが主催するマレーシアの有料オンラインサロン(マレー語)に入って、動画編集や撮り方を学び始めました。

MTASは毎週オンラインでセミナーがあり、テレグラム(マレーシアで流行しているチャットアプリ)で質問できます。

妻の絵津子さんに、1日1回必ずレビューしてもらい、字幕もチェックしてもらっています。

こうして少しずつ動画チャンネルの再生数が上がり、2020年度のMTASオンラインサロンで賞を受賞。また、中国のゲームアプリに紹介されたことから、動画再生回数が急にのび始めました。

2020年11月には100万回再生を達成。

マレーシアのケーブルテレビ「アストロ」で初のマレー語映画(ホラー映画!)への出演も果たしました。

キンジョーさんに、「現地で活躍するために、一番大事なことは何ですか?」と聞いてみました。

「現地のことを知るだけなら、誰でも、その国にしばらく住んでみたらたどり着きます」

「しかし、現地で活躍するためには、深く、わからないことを1つ1つ追求していったほうが、うまくいくんじゃないかな、と思います。最近僕が深く知りたく調べてるのは『マレーシアの人はどういった学校生活を送っていたんだろう』です」

今後の目標はありますか?

「ゆくゆくはマレーシアで自分が作品を作ってみたい。大きなこと言えば、映画を作ってみたいという気持ちが、前回マレーシアの映画に出演したときに芽生えました」

ありがとうございました!

それではまた。

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