なぜ、標準化テストを重視しない国が増えているのだろうか?
よくアジアの教育は「テストの点を重視しすぎ」と批判されます。マレーシアの公教育もテスト中心型で小学生から試験があります。
一方で、アメリカやカナダの教育ではテストの点があまり重視されていません(例えばカナダでは大学入試でも、GPAと呼ばれる成績や課外活動重視です)。
ですから、インターの入試にしても、国の標準化テストにしても、非常にあっさりしてます。例えば、アメリカのSATは2教科だけ。ある州のカナダ式では英語だけです。
このことに、多教科のテストに慣れた多くのアジアの親は驚き、不満に思うようです。
アメリカ・カナダ・オーストラリア・国際バカロレアなどでは、カリキュラムが中華式やシンガポール式より緩やかだったり、標準テストが少なかったりするのです。保護者・学生には「勉強が遅れている」「レベルが低い」などなどと不満を漏らす人がいます。
例えば、国際バカロレアの底に流れる思想には日本のかつての「ゆとり教育」と同じ、ジョン・デューイらの「進歩的教育思想」があります。
海外教育を考える親は、この事実を無視しないほうがいいです。
でもなんでこうなっているのでしょうか。
テストで学校同士を競わせると起きること
以前もご紹介した世界銀行(Worldbank)の2018年の資料によると、米国でもかつては「標準化テスト」重視の時代があったようです。
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