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なぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか?「国家はなぜ衰退するのか」

今年のノーベル経済学賞を取ったダロン・アセモグル、ジェームズ・A・ロビンソンの二人の共著による本を読みました。

「国家はなぜ衰退するのか」。

テーマは「なぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか?」です。

世界を旅していると、なぜかずっと貧しい国。
なぜかいつも経済が好調な国があって、「この差はなんなのだろう?」と不思議に思います。

私はオーディブルとKindle両方で読みましたが、オーディブルだと無料対象に入っています。

「本書はまるで世界中をぐるぐる回るジェットコースターのように、縦横無尽に世界のさまざまな場所、時代に、飛んでいきます。

新大陸発見時期の南米の国々、入植初期のアメリカ、フランス革命後の欧州、戦後の韓国と北朝鮮、20世紀初頭のソ連、ソマリア、今のマレーシアやインドネシアなどのマラッカ海峡近くの国々、明や清の時代の中国、明治維新後の日本、流刑地だったかつてのオーストラリア。

Amazonの紹介はこんなふうになっています。

世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか? ノーベル経済学賞の歴代受賞者が絶賛する全米ベストセラー。
上記の問いに答える鍵は、地理でも、気候でも、文化でも、あるいは為政者の無知でもない。問題なのは政治・経済上の「制度」なのだ。 ジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したMIT教授のダロン・アセモグルと、気鋭のハーバード大学教授ジェイムズ・A・ロビンソンが、15年に及ぶ共同研究の成果をもとに国家の盛衰を決定づけるメカニズムに迫る。本書から明らかとなるのは――
○メキシコとアメリカの国境で接する2つのノガレス、韓国と北朝鮮、ボツワナとジンバブエ――これほど近いのに発展の度合いに極端な差があるのはなぜなのか?
○現在の中国はこのまま高度成長を続け、欧米や日本を圧倒するのか?
○数十億人の人々を貧困の連鎖から脱出させる有効な方法はあるのか? etc.

古代ローマから、マヤの都市国家、中世ヴェネツィア、名誉革命期のイングランド、幕末・明治期の日本、ソ連、ラテンアメリカとアフリカ諸国まで、広範な事例から見えてくる繁栄と衰退を左右する最重要因子とは? 21世紀の世界を理解する上で必読の新古典、待望の邦訳。

「包括的な経済制度 vs収奪的な経済制度」が国家の繁栄を決める

経済発展する国としない国を何が分けるのか?
今までも、さまざまな議論がありました。

「地理説」
熱帯地域は気候が厳しく、病気が多いことで発展が遅れ、逆に温帯地域では農業が発展しやすく、経済成長に有利だというような地理的な条件(気候、自然環境、土地の肥沃さなど)が国家の経済成長や社会発展を決定づけるという考え方です。しかし筆者はこれだとシンガポールやマレーシアの発展が説明できないと言ってます。

「文化説」
文明の発展には、文化、特に宗教や価値観、行動様式が関係しているという考え方です。プロテスタントの労働倫理がヨーロッパやアメリカの経済発展を促したという見方や、ある地域の特定の文化的習慣が経済成長を妨げる要因になるという主張です。しかし、筆者は「これだと中国をはじめとする東アジアの近年の発展を説明できません」と言ってます。

「環境決定論」
ジャレッド・ダイヤモンドが『銃・病原菌・鉄』で提唱した説です。けっこう複雑なので原著を読んで欲しいのですが、地理的条件や植物の種の状況、病原菌などの複雑な影響があったとするものですね。

一方で、この『国家はなぜ衰退するのか』では、「包括的な経済制度 vs収奪的な経済制度」が国家の繁栄を決めるとシンプルに説明しています。

収奪的な経済制度とは、権力が一部に集中している状態です。私有財産は保障されず、お金を稼いでも、発明をしても、権威に奪われてしまうことを人々は知っています。人々には投資をしたり、イノベーションを起こすインセンティブがありません。

包括的な経済制度とは、私有財産が保障され、投資や発明のインセンティブがある社会です。人々は、自分が稼いだものを奪われないことを知っています。だから、イノベーションが起きるわけです。

インセンティブがあるかないか、が明暗をわける?

なぜ19世紀に米国や英国で技術革新が起きたのか、起きない国との違いはなんなのか。

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