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「脆弱国家」「失敗国家」について考えてみた

「脆弱国家」「失敗国家」という言葉、聞いたことがあるでしょうか。

政府が果たすべき義務を果たせなくなっている国家のことを言うようです。

失敗国家にしばしば見られる特徴は、社会的、政治的もしくは経済的な破綻である。

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%B1%E6%95%97%E5%9B%BD%E5%AE%B6

定義は以下のようになっています。

・(国家が有する)領域に対する物理的な統制の喪失、或るいは合法的な軍事力の独占(暴力の独占)の喪失。(The loss of physical control of its territory or a monopoly on the legitimate use of force.)
集団の意思決定を下す為の正統な権限に対する侵害。(The erosion of legitimate authority to make collective decisions.)
・合理的な
公共サービス公益事業)の提供不能。(An inability to provide reasonable public services.)
国際社会の正式な一員として他国と接触する能力(外交活動)の不能 (The inability to interact with other states as a full member of the international community.)

さて、この失敗国家については、アメリカのシンクタンクである平和基金会が毎年、ランキングを発表しています。今は「脆弱国家ランキング」と名前が変わっているようです。

「モガディシュ 脱出までの14日間」に描かれたソマリアの内戦前夜


この失敗国家ランキングのトップを独走しているのが、アフリカにあるソマリアという国なんですね。

私は2010年代、高野秀行さんの「謎の独立国家ソマリランド」という本を読んで、気になっていたのですが、(この本は失敗国家というイメージに反して、ソマリアの中の1独立地域である『ソマリランド』が平和で安定した場所だったというレポート)。

この本は、第35回(2013年)講談社ノンフィクション賞や本屋さん大賞ノンフィクション部門 第1位(週刊文春)を受けています。

そのソマリアを舞台にした映画があるというので、見てみました。韓国のリュ・スンワン監督の韓国映画「モガディシュ 脱出までの14日間」です。2021年に韓国でNo.1ヒットを記録しましたが、「謎の独立国家ソマリランド」よりもう少し前の時代、ちょうど内戦が始まる前夜から内戦後の各国大使館の脱出を描いています。

ソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館職員たちの脱出劇を描いたリュ・スンワン監督の映画『モガディシュ 脱出までの14日間』は、激しい内戦の再現、緊張感あふれるカーアクション、南北の愛憎入り混じる人間ドラマが絡み合い、韓国で昨年最大のヒット作となった。

https://globe.asahi.com/article/14652658

この映画、ハリウッド映画さながらのスピード感があり、非常に面白かったのですが、流石にソマリアで撮影することはできず、モロッコで行われたそうです。よくまあ韓国の人たちがここまで他国のことを映画にしたなと思いますが……。

国が崩壊するというのがどういうことかがわかります。

私はこの2つの作品からしかソマリアを知らないのですが、この2つだけ見ても、実に違う面が描かれていて興味深いです。

以下の背景を読むだけで興味深いです。

脆弱国家の例

さて失敗国家に話を戻しますと、ランキングでは国家をいくつかの指標から以下に分類します。

持続可能
安定
要注意
警報
評価なし

に分けています。

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