21gの石

「その星には生物は居らず、ただ透明で虹を発する石が散らばっていた。調べた所それは全て21gであり破片ではないという事と、椅子や何かの上に置いてある場合が多く、以外には巨大なガラス越しに転々と、または同じく巨大な水槽の中に転々とある、という結果が出た。
進入したある建物の中では柔らかな家具──眠る為の家具だろう、その中に二つ、キラキラと瞬いていた。思わず見惚れていると突然けたたましい音が鳴り響いた。枕元の薄っぺらな機械が鳴っている。触ってみると時間らしい数字と文字が現れ、押すと止まっていった。どうやら外でも同じ現象が起きているらしく、今迄の無音が嘘の様に色とりどりの音達が世界を包んでいた。地平線の向こうには太陽が登り始めている。
私はこの機械を船へ持ち帰った。画面にはこの星の知的生命体だろう二体の顔が映っている。
時折鳴るこの機械は、未だにあの星の時間を刻んでいるのだろう。私は少し音を止める事に慣れてきた」

ある捜査員の記録

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