夏の気長

コンビニの帰り道、葬儀場の前を通ると看板に君の名前が光っていた。中へ入ると熱量のない月光に照らされた棺には君が横たわっており、「死んだのかい」「ああ最近」と口も動かさずに随分と懐かしい声で言うので先程買った肉まんを食べながら私達は他愛ない話をしていたのだが「それじゃまた、天国か来世で」と言ったきりすっかり死体に戻ってしまった君は夏夜の中、随分と菊の香りが似合っていた。

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