知り寄り添う者
その冬国の海岸では、少年が薄荷水で作ったシャボンを膨らましていた。「上手く上がれば星になり、賢く飛べば風になる」と鈴のような声で歌っている。
『落ちてしまったら?』私が思わず問うと「愛しく落ちれば石になる。役に立たない物は、愛する他にないからね」と言って、緑色をした蛍石を一つ寄越した。
手に収まる程のそれはちっぽけで頼りなく、しかし暖かく、優しくて、溢れた涙と同じ温度だった。
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その冬国の海岸では、少年が薄荷水で作ったシャボンを膨らましていた。「上手く上がれば星になり、賢く飛べば風になる」と鈴のような声で歌っている。
『落ちてしまったら?』私が思わず問うと「愛しく落ちれば石になる。役に立たない物は、愛する他にないからね」と言って、緑色をした蛍石を一つ寄越した。
手に収まる程のそれはちっぽけで頼りなく、しかし暖かく、優しくて、溢れた涙と同じ温度だった。
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