「新自由主義」って知ってますか?
超ザックリ 経済学の歴史
アダム・スミスが「市場に任せとけば丁度いい値段になっていくよ。人間って自分の幸福だけじゃなく、他人の幸福も望む生き物だから心配ないサ」と自由な経済を推奨します。
しかし実際は格差が拡大し続け、労働者は奴隷状態になっていく。そこでマルクスが「1人1人が善人か悪人かは関係ないんや。資本主義っちゅう仕組みの中では必ず恐慌が起こりよるし、人間が人間を搾取する構図は絶対に変えられへんねん!」と社会主義・共産主義の必要性を説きます。
(誤解されがちですが、ソ連や中国のやったこととマルクスの主張はまったく違います)
1929年の世界恐慌。不況で生産活動が停滞する中、「こんなときは政府が借金して仕事を作れば、みんなに給料が行き渡ってお金が回り出すから、資本主義はまだイケるよ」というケインズ理論が登場します。政府が経済活動に介入するニューディール、資本主義経済の中に社会主義の仕組みを取り入れる政策です。ただし、ケインズは「景気回復したら増税して借金返してね」と言っていたのですが、政治家は落選が怖いため増税しません。結果、財政赤字が拡大していきます。
そしてフリードマン登場。「政府が介入するからいけないんじゃ。政府なんか信用できないんだから、なんでもかんでも規制緩和して自由にすればいいんじゃボケ!」という理論を展開。スミス時代の古典的な自由主義に対して「新自由主義」とよばれます。
(政府の介入を拒否する理論が、政府に都合よく利用されるのだから皮肉な話です)
フリードマンの理論に飛びついたのがイギリスのサッチャー首相。
「金持ちを貧乏にしても、貧乏な人が豊かになれるわけではありません。金持ちを貧乏にしたがるのは嫉妬です」と言って貧乏人を敵視し、構造改革を断行。国営企業を民営化、規制緩和、大企業優遇、消費増税、社会保障削減、労働組合弾圧等々…。
この『サッチャリズム』でイギリス経済は復活したけど、格差は拡大。ホームレスや自殺者増大、人心はすさみ治安も悪化。(フーリガン大暴れ)
同じことをアメリカでやったのがレーガン大統領。『レーガノミクス』とよばれます。日本でこれを真似たのが中曽根政権。そして高い支持率を背景に、一気に新自由主義政策を押し進めたのが小泉政権。
今の日本の野放図な格差社会の元凶は小泉政権にある。中でも理論的支柱だった竹中平蔵慶応義塾大学教授の責任が大きい。労働者の奴隷化を防ぐ観点から、戦後禁止されていた単純労働者の派遣を合法化。「構造改革」「規制緩和」の美名の下、人の命を守るための規制を廃止した。竹中氏は政権内で立法に関わり、今では人材派遣会社の会長として莫大な利益を得ている。
義務教育への補助金を減らしたのもこのとき。教員給与の国庫負担を1/2から1/3に減らしたため、自治体は自助努力によって教職員を確保せざるを得なくなり、これ以降、非正規雇用職員の割合が目に見えて増加した。
スミス、マルクス、ケインズ、フリードマン、誰かが100%正しくて、誰かが100%間違っているなんてはずはありません。劣化した政治家や御用学者に理論をつまみ食いされ、悪用されがちですが、それぞれの考えを学ぶと社会を見る目が変わると思います。
そして『アベノミクス』。もちろん語源は『レーガノミクス』。紙幅の関係で詳細は割愛しますが、政策の中身は大企業優遇、弱者への負担増です。新自由主義が根幹にあるので当然の帰結なのです。
経済理論と政策の関連を知ると、貧しい人が「生活が苦しい。安倍さんには私たちの生活を良くするために頑張ってほしい」というのが論理的に矛盾していることが分かります。
「知る」って面白いですよね。
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