対話 4
あーあ、くだんないなぁ。くだんないよぅ。
「お、また人生くだんない教に入信したの?まぁいつだってキミはそんな顔をして立ってるけど。一体何がそんなにくだんないのよ」
もう全部だよ全部。ありとあらゆること、地面の硬さから空の高さまで、山の緑から海の青までぜーーーんぶ。
「そーれはなかなか重症だねぇ。海が真っ赤で空がとっても低くても、どうせくだんなーいってなるんだろうし。どしたの、またなんかあったの?」
特に何もないと思うんだけどねぇ。でも最近人とたくさん交わっているっていうのは、1つあるのかもしれない。誰かと会った後、良くも悪くもそういう気持ちになってしまうことが多いから。その出来事自体への虚無というより、人生そのものへの、なんだけど。どうせ人は死ぬのに、どうしてこうも……こうも?わかんないや。その昔は、何やってても楽しいなぁで終わってたんだけど、変に歳を重ねてしまったのか、理性が強くなったのか。
「人は死ぬけど暫くは死なないし、明日も来るんだよねぇ。気付いちゃったのが運の尽きなんじゃないかしら。気づかなければ幸せでいられた?」
そんなことはない、と思うんだけど。明日死ぬかもしれないからって今を全力で生きようとしていた嘗ての私は、すっかりぼろぼろになってどんな形だったかももう思い出せないや。いなくなってはいない。でももうあの頃みたいに頑張れなくて。柔らかな諦念。
気づかなかったら、かぁ。
何かに気がついているつもりも何かを知っているつもりもないんだけどな。
私が私の生き方をした結果、こうなってしまった。
人生の愉しみ方を探していたら、いろんな経験がくっついてきただけのおはなし。
「どんな教養も経験も世界を楽しむ手段だって、誰かが言ってたねぇ。じゃあキミは、ずっと探し続けるんだよきっと。その先にあるのが地獄だとしても天国だとしても、それすらも愉悦に変えてごらんよ」
ほーんと、無責任なことばっかり言ってくれるねぇ。でも、そうすることくらいしか暇潰しがないから、くだらないくだらないって言いながら今日も愉快な気持ちを忘れないように、生きてみるよ。
「(キミは本当に可哀想だけど、その直向きさをボクは愛しく思っている)」