なんにもならないはなし


セックスの後、煙草を吸うのがやめられない。

冷たいだとか賢者タイムかよとか色々言われるんだけど、そういうのじゃないんだよなぁ、と思う。なんだろ、儀式?ご飯を食べた後に吸う煙草に近い気がする。とりあえず吸いたいな、となる。だからって欲が落ち着いてるわけでもなくて、吸った後だってもう一回戦いける。インターバル的な話なんだろうか。

なんとなく、落ち着きたいのかもしれない。

熱に浮かされた身体。裸の香り。いろんな液体が空気に溶けている感じ。

それが嫌い、というわけでもないしむしろ好きでさえある。だけどどんな時に吸っても変わらない煙草の味と紫煙を燻らす行為は、どうしても必要で。まぁ、流石に肩掴まれて行かないでって言われたら自重するんだけども、そっちの方が興醒めしてしまうかもしれない。わかんないや。

セックスの後の気怠げで甘苦い空気がとても好きだ。前の張り詰めた空気も。ひりひりするのに蕩けていく感覚。自分という輪郭が曖昧になって、融け合った後にもう一度ひとの形をなぞる。本能だな、と思ってきらきらした気持ちになる。AVみたいなのを見ると滑稽だなって、笑っちゃうんだけどさ。と、ここまで言って気づいた。始まりと終わりを一応でもいいから決めておきたいのかも、なぁ。

自分ではない個体と交わるという行為、油断したら1つになっちゃうかもしれないから、こわい。何も考えられなくなるのは、困っちゃうでしょ(最中は結構何にも考えてないし考えないことにしてるんだけど)わたしの価値観として、人と食事をする、とか会話をする、とかと並列したところにセックスがある。2人きりで行う行為という意味で全部等しくそこに存在している。よく考えたら、ぜーんぶ1人になった瞬間に煙草吸うかーってなってる気がする。


なんかでろでろ垂れ流したけれど結局のところ、ひとりぼっちだよなぁってなることで自衛したいだけのお話なのかもしれなかった。おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?