内側のはなし。


人の感情が大好き。
理性の裏にある獰猛さとかどうしょもなさとか、愚かさ、とか。

怒られるのは嫌いだけど、怒っている人を眺めているのは不快で愉快だなと思っている。
泣き顔も、好き。
快感でも憎悪でも歪んでいるその顔がいっとう愛おしくて仕方ない。蜜柑の薄皮がぷつりと弾けたみたいな、脆くて甘美な内側のことをここ数年で好きになった。

昔はそういったものを汚いとか面倒臭いとかそういうふうに思っていたこともある気がするけど、すっかり歳をとったらしい私はそのグロテスクさに「ニンゲンらしさ」を見出している。元々他人好きだった私がそうなるのは割と予想の範囲内かもしれんなぁ。面白ければ気持ち悪くても気持ち良くてもどっちでも良くなってしまった。いつからなんだろう。

セクハラに笑ってた時。
好奇心でいろんなことをやった時。
悪人に成り果てた時。

いろんな出来事の山積で私はこうなった、こうなってしまった。そのせいで人の痛みにはもしかすると鈍感になっちゃったなぁと思うことは多々ありますが、お陰で生きながらえているので残念さと感謝でおしまい。

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