あのこのはなし
あの娘のお話をしよう。
この子変な子だなぁって。それが第一印象。昔の恋人の印象は私に似てる、だった。その友達として出会ったその子は、最初からぶっきらぼうで無愛想でタメ口で訳がわかんなかった覚えがある。だけど不思議と不愉快ではなくて、なんでだったんだろうね。
最初の印象なんて、そんなもんだったのに。
惚れっぽい私の性質と、タイミングと、なんか諸々が噛み合った。噛み合ってしまったから。歪で激しい私の恋愛感情が、ぎしぎし音を立てて回ってしまった。独り善がりで相手のことを考えない感情だけの、恋愛が。沢山会って沢山話して、その分だけ笑ったし泣いたし忙しかったなぁ、楽しかったけど。あっちはどうだったかわかんないや。
思い出を美化する事は容易いな、と思う。
叶わなかった恋も壊れてしまった愛も、終わって仕舞えば全て水道水で作った氷みたいに綺麗な癖に中の見えない、そんな物体になって心の中に沈んでいくの。偶に潜って其れを見つめて、ふふふって笑ってあげるの。なーんにも面白くなんかないのにねぇ。溶けて心が冷たくなる時もあるけど、仕方ないなぁってやっぱり笑ってあげるんだ。
いろんなことをした、友人として自然なことも不自然なことも。好意の伝え方がへったくそで、稚拙で、どうしようもない。今思い出しても恥ずかしいけどどうしたらよかったかはわからないまんま。会うのを楽しみにして、会えば毎回苦しくなって。それでも、今も。
心も身体もいらないから(全部欲しいよ)いい友達でいさせて欲しい(そんなの嘘)
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