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ドラクエと現実
ドラクエの新作ゲームが発売されたらしい。
職場で上司が嬉々として話しているのを聞いた。
色々な呪文やモンスターの名前を言っていたけど、そのほとんどはわからなかった。
私は30歳近くになるけど、今までドラクエをやったことがない。
正確にはほとんどやったことがない。
私が幼かった時、なぜか家には、とうの昔に旬を過ぎたはずのスーパーファミコンがあって、ドラクエのカセットも保管されていた。
弟と2人でトライしてみたものの、結局最初の洞窟から抜け出せずに飽きてやめてしまった。
「レベルアップして、最初に行けなかったところに行けるドキドキ感がたまんねえんだよ」
ドラクエの面白さをなんとか私に伝えようとしてくる上司の話を聞きながら、RPGも現実も同じようなものだなと感じた。
現実では、行こうと思えば世界中どこにでも行ける。
富士山だろうが、アメリカだろうが、場合によっては宇宙にだって行くことができる。
でも、目の前には一社会人としての生活がある。
その生活を守ることが第一義の毎日の中では、自分と関係のない物に人はなかなか興味を持たない。
世界中どこにでも行けるはずなのに、実際には毎日同じ道を通って同じ場所に行き、同じようなことをして帰ってくる。
それはまるでRPGの制限された世界を歩くのと似ている。
そして、何かのきっかけで突然世界が開けることがある点も似ている。
友達から美味しいスイーツの店を教えてもらった、上司に連れていかれた、道を間違えた etc.
何かしらのきっかけで、突然今まで行かなかった世界が自分のものになる。
生まれてから死ぬまで、そうやって少しずつ開拓していって、自分の世界が広がって行く。
RPGは人工の制限された世界だけど、本質的には現実と似ている。
仕事の昼休みにぼんやりそんなことを考えていた。