ぼくは、美味しいお酒になるために生まれた。
朝7時―。
雲一つない青空が広がっていた。まだ昨夜のお月様が、ぼんやり青空に浮かぶ。
今日は、酒蔵の蔵人さんに引率してもらって、無農薬栽培の酒米の農家さんの元を訪ねることに。
酒蔵から小さな車ミゼットを借りて、夫婦ふたりでぎゅうぎゅうに座って運転する。ところどころ刈り取られた田んぼと、頭を重たげに実らせた稲穂。黄金色の田んぼ道を、軽やかに疾走する軽トラについていく。
木之本から高月を過ぎて、福所にある酒米生産者の家倉さんを訪ねた。
さっそく、無農薬栽培の「玉栄」(たまさかえ)の田んぼへ。
これでおよそ3反。
ちなみに、1反は10メートル×100メートルなんだって。
昨夜も晩酌で飲んだお酒「七本鎗 無有」の原料となるお米がここで生まれた。
粘土質の土壌が育んだ実り、
天に向かって真っすぐに生える力強い姿。虫たちも、雑草も元気に育つ。
まだ朝露が眩しい。
畦道に入ると、しっとりとした感触が足から伝わる。
ツユクサがきらきらと青く輝いていた。
なにより、眩しいくらいの笑顔で出迎えてくれた生産者の家倉さん。
想像以上に若くてびっくりした。
てっきり、味のある、お爺さんだと予想していたものだから…。
(左:生産者の家倉さん)
優しい目に見守られて、手塩にかけて育てられ、そして蔵人の手へ。
いよいよ10月から始まる酒造りが、待ち遠しくも、ちょっと覚悟もいるみたいです。
稲刈りまでは、もう間もなく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?