日豊本線隼人〜鹿児島複線化案―肥薩線再生策④―
前回まで、3回にわたり肥薩線人吉〜吉松間の再生案を述べた。元々需要のない県境区間、元々鹿児島本線だったが、現在の鹿児島本線が開通して人の流れと合わなくなった、国鉄時代の投資不足で近代化が遅れ、速度が遅い、本数が少なく増やせないという致命的な欠陥で自家用車と全く勝負にならないほど規格が低いといった理由で地元利用者がほとんどいない。需要の創出には、相当な投資で近代化しなくては利用されない。だからかなり大胆な改良案を提示した。ほとんど肥薩新幹線と言って良いほどの改良案である。
しかしこれだけでは不十分である。
鹿児島県側を大幅に改良しても、接続する日豊本線の鹿児島方面は既に線路容量が一杯で増発できない。加えて姶良市内の人口急増で駅が増えて時間がかかる。特急にちりんですら、姶良市内各駅停車の列車も設定されるほどである。人吉〜隼人間を高速化しても、隼人駅で乗り換え必要、隼人から先は各駅停車では所要時間短縮効果が薄く、鹿児島方面の利用者を十分獲得できない。在来線で高速道路と対抗するには、最低限130キロ運転をする必要がある。関西地区の新快速や、特急サンダーバードが高速道路にも十分な競争力があるのは、130キロ運転で停車駅を大幅に減らして高速道路利用よりも時間的に有利になった点が大きい。肥薩線は全線九州自動車道に並行するので、残すなら相当の高速化をしないと利用されない。
鹿児島付近の日豊本線の現状
鹿児島県内の日豊本線は、全線単線、電化している。単線の割に利用者が多く、国分〜鹿児島間の輸送密度は11,214。JR九州で16番目に多く、九州新幹線の熊本以南と遜色ない。
輸送密度が近い路線は以下の通り。
長崎本線・諫早~長崎 19,032
山陽本線・下関~門司 18,506
日豊本線・中津~大分 14,503
篠栗線・篠栗~桂川 14,303
九州新幹線・熊本~鹿児島中央 11,950
鹿児島本線・鹿児島中央~鹿児島 11,811
日豊本線・国分~鹿児島 11,214
鹿児島本線・熊本~八代 10,670
豊肥本線・熊本~肥後大津 10,655
鹿児島本線・久留米~大牟田 9,414
筑豊本線・折尾~桂川 8,585
長崎本線・肥前山口~諫早 8,647
指宿枕崎線・鹿児島中央~喜入 8,332
これを見て分かるのは、篠栗線以外全て複線。
複線かつ九州の動脈とも言える鹿児島本線の久留米以南とのどの区間よりも輸送密度が高い。
だいたい輸送密度が8,000を超える区間は全国的に見ても複線化されているのが普通である。これを単線で捌いているから増発できないのも当たり前だ。しかも日豊本線の鹿児島側には、重富〜竜ヶ水間、竜ヶ水〜鹿児島間という14kmの間に竜ヶ水駅でしか行き違いできない区間がある。駅間の所要時間が7分〜8分かかるので、列車は理論上最低15分は空けないと運転できないが、実際は20分空けないと運転できない。また、姶良市内などに交換駅を作っても、この区間に長大閉塞区間があるので列車間隔を短くできないのも輸送力不足の原因である。
都市規模の近い岡山市と比較すると、岡山市周辺の山陽本線の輸送密度は30,000程度に対し、日豊本線は三分の一。特に岡山市の東側は人口が少ないにも関わらずこの数値である。2023年の輸送密度が最新だが、西側の岡山〜福山間の輸送密度は33,106、日豊本線と似ている東側の瀬戸〜岡山間は30,088である。特に東側は列車本数が少ないこともあり、混雑感が激しい。
岡山から東に向かう山陽本線は、3両から8両の列車で運行されているが、日豊本線は817系2両か4両である。岡山地区の最大8両は、地方都市では相当長いが、山陽本線が元々大幹線で、長大編成も対応できるが、鹿児島周辺の日豊本線は、帖佐駅など古い駅は8〜10両分のホームがあるものの、国鉄分割民営化後に開業した姶良駅などは最大6両しか停まれない。単線なのであまり長い列車は行き違いすらできない。
岡山市東部と霧島、姶良地区の比較
どう見ても山陽本線で一番利用者が少ない岡山駅東側。人口も山陽本線沿線で最も少ないと見られ、相生〜瀬戸間は毎時1本、瀬戸〜岡山間は毎時2本。快速などの速達列車はなく、全て普通列車。今は相生で系統分離されているので岡山県から姫路まで普通列車で直通する列車はない。
また、1日6本2両編成で鳥取行のの気動車特急「いなば」が運行されているが、岡山の次は兵庫県の上郡まで停車しないので、岡山県内の利用はない。利用者は全員県を跨いだ移動目的である。
ちょうど岡山〜瀬戸間は鹿児島中央〜国分間、瀬戸〜相生間は国分〜都城間に似ている。
沿線人口は、岡山駅、東岡山駅が岡山市北区、都市圏輸送区間の瀬戸駅までと、一つ姫路寄りの万富駅が岡山市東区である。岡山市東区の2020年の国勢調査での人口が93,108人、岡山市中区の人口が314,523人。瀬戸〜岡山間は15.4km、約20分である。
日豊本線の国分以南は、国分駅より2つ都城寄りの北永野田〜隼人間が霧島市、加治木〜重富間が姶良市、竜ヶ水駅、鹿児島駅は鹿児島市である。
霧島市123,455人、姶良市76,348人。鹿児島市は鹿児島駅〜鹿児島中央駅は鹿児島本線で日豊本線の輸送密度に加算されないのと、鹿児島市内の竜ヶ水駅の周辺人口がほぼ0(防災対策で移転を勧めているため)、利用者もほぼ0。該当する鹿児島市吉野町の人口は36,000人を超えるが、これは高さ400mほどの崖の上にある吉野町のニュータウンの人口で、竜ヶ水駅から直接行くことができない。吉野町のニュータウン最寄り駅は鹿児島駅なので鹿児島市内の利用者はないものとして除外する。
各駅の2020年乗車人員は、岡山駅46,763、西川原駅2,813、高島駅2,946、東岡山駅3,385、上道駅1,177、瀬戸駅2,308。鹿児島側は、おそらくほとんどの乗客が鹿児島中央駅まで乗り通すので、参考までに鹿児島本線の鹿児島中央駅も含める。
鹿児島中央駅14,013、鹿児島駅1,330、竜ヶ水駅は2016年以降乗車人員が公表されていないが、2015年は2。現在はほぼ0と見られる。重富駅
404、姶良駅881、帖佐駅1,375、錦江駅409、加治木駅1,630、隼人駅1,413、国分駅2,451。岡山付近と比べ、沿線人口は多いのに利用者が少ない。特に霧島市と姶良市合わせて約20万人の人口があり、ほぼ両市の主要部を走るのにこの利用者である。増発や高速化で岡山付近程度の利用者数は見込めるのではないか?
複線化の効果
①複線化すると、行き違い待ちがなくなる。
複線区間の岡山〜瀬戸間は15.4km、20分。表定速度46.2km/h。途中4駅に停車する。鹿児島〜姶良間は、15.5km、17〜21分。行き違い待ちがあるので、列車ごとの所要時間がほぼ一定の岡山と比べ、鹿児島は所要時間にばらつきがある。岡山の場合は所要時間は一定だが、列車の時刻は15秒単位で作り、端数処理で前後1分の差が出るため、実際には列車ごとの所要時間は一定である。表定速度44.3〜54.7km/h。途中駅は竜ヶ水、重富の2駅だが、ほとんどの列車は竜ヶ水駅を通過する。
通常駅に停車すると、1駅あたり1〜2分所要時間が増える。また、単線区間では行き違い待ちで5分ほど所要時間が延びる。これは対向列車に遅れが波及しないために余裕を持ったダイヤにする必要があるからである。距離はほぼ同じで岡山付近の方が駅の数が多いのに所要時間が変わらないのは、複線なので行き違い待ちのための余裕時分を入れないことも大きい。逆に鹿児島付近は、岡山の快速運転していると言ってよいほどの停車駅数なのにそれほど速くないのは、竜ヶ水や重富で行き違い待ちの余裕時分を入れるためである。
岡山付近を快速運転、鹿児島付近を複線化すれば、最高速度そのままでも所要時間はどちらも15分程度のはずである。所要時間15分なら、表定速度60km/hを超えるので、これなら局地的な中心市街地間(岡山駅と岡山市東区の各中心部、鹿児島駅付近の官庁街、姶良市の中心市街地)では自動車よりも速くなる。複線化だけで日豊本線の競争力は高まる。人口規模を見ても、複線化だけでも岡山駅以東の山陽本線並みの輸送密度30,000は達成できるだろう。
②複線化で増発
日豊本線国分〜鹿児島間は、途中に重富〜鹿児島間の長大閉塞区間があるため最大20分間隔でしか運転できない。需要に対して供給できる輸送力が限られているので、現状特急きりしまも、一部は竜ヶ水(半数以上の普通列車が通過する駅)錦江以外に全て停車する普通列車の補完運用をしている。ホームライナーの役割もあるが、普通に安く移動したい需要には応えられていない。ちょうど良い時間に特急しかなく、余計な料金がかかるから利用しない人も相当数いるだろう。しかし複線化すれば特急と別に普通列車を運行できる。鹿児島では毎時3本の817系ロングシート通勤車と、毎時1本の宮崎方面の特急が現状の適正輸送量だろう。複線化すれば実質毎時4本も可能である。
③緩急分離
これはJR九州が他のJRと比べ苦手としている点だろう。JR西日本の関西圏の新快速は、京阪神間は特急より速いが、滋賀県内や兵庫県播磨地方は各駅停車区間もあり、緩急分離の意味合いも強い。新快速運転区間は、大阪周辺なども各駅停車が充実していて、完全に近距離利用と中距離利用が分かれている。その優れた点は、各駅停車の末端区間と新快速の末端区間の所要時間が変わらず、どこからも大阪駅に通勤可能に設定されている点にある。姫路からも、大阪府内の郊外からもあまり変わらず1時間以内というのはうまく作られている。
JR九州だと、特急きりしまを普通電車補完で使う時点で緩急分離が出来ていない。これは単線区間で増発不可能だからの苦肉の策である。複線化すれば国分までの普通電車を毎時5〜6本運行し、肥薩線や宮崎方面へ快速運転、特急運転などの緩急分離運転ができる。鹿児島〜国分間は、普通電車の需要が高く、817系2両編成ロングシート車両なら、毎時3〜4本程度が適正と見られる。
特に重富〜国分間は、かなり市街地化しているので、毎時5〜6本の普通電車を運行すれば、路面電車沿線並みの利便性になる。実際霧島市と姶良市の人口を合わせて20万ほど。鹿児島市内谷山地区の人口が16万人程度のことを考えると、2両編成の817系電車を完全に10分ごとに運転すれば、重富〜国分間の短距離移動や鹿児島市内から姶良市、霧島市への移動需要がかなり取り込める。鹿児島市電の1系統並みの利用はあるだろう。
特急きりしまの途中停車駅増加も毎時3本程度の運行本数確保のためと考えられる。
複線化すれば、毎時3〜4本程度普通電車を運行し、毎時1本程度の肥薩線や都城方面への乗り入れは、快速化できる。停車駅は鹿児島、帖佐、加治木、隼人、国分だろう。特急きりしまはもっと停車駅を減らして高速化できる。肥薩線を鹿児島空港経由にしたら、乗り入れを増やせるし、空港特急も設定できる。
複線化が実現すれば、現在鹿児島中央〜国分間33.7km40〜50分かかっているのが30分程度、
鹿児島中央〜隼人間31.1kmで35〜45分かかっているのが25分程度になる。特急きりしまでも、ほとんど所要時間が変わらないので、行き違い待ちがいかにスピードを下げているかわかる。
日豊本線への投資は無駄ではない
よくある主張で、おかしな意見が2つある。
一つは、日本は人口が減っているから移動は減る。交通への投資は無駄という意見。
こうした考えの人は数字を捉えるのではなく、数字に囚われている。そして乗車人員などの数字だけを見て顧客心理、人間心理が見えていない。
人口が減っても、高齢者が増えると時間的余裕があるから旅行に行こうという人も増える。インバウンドも、海外の高齢者が多い。旅行は必要ないし、究極の無駄とも言える。しかし人生を豊かに過ごすために違う土地に行って見聞を広めたいという意欲は人間にはある。旅行業界はそれで成り立つ。鉄道も旅行者から収入を得ている。
新幹線が開業すると、通勤通学、出張旅行といった一般的に考えられる利用目的の他に、習い事で県庁所在地に向かう、県庁所在地の塾に通うといった、そこに便利な路線があるから使うという日常利用が生まれる。
また、人口が減っても物流は増える。しかしトラック運転手は減っている。今後もトラック運転手の不足は解消される目処が立たない。日豊本線のような路線は、貨物輸送にも必要となる。バスの運転手不足はさらに深刻である。鹿児島〜宮崎間は高速バスも廃止されている。コロナ禍での利用減少、収益悪化の他に、運転手不足もあるとみられる。コロナ禍後も、鹿児島空港と鹿児島中央駅を結ぶリムジンバスすら運転手不足で減便したままなので、運行再開は不可能だろう。都市間輸送として鹿児島中央〜宮崎間の特急は唯一の゙都市間輸送手段として残り続ける。都市間輸送を維持して便利にする投資も必要である。今の地方JRの惨状は、明らかに国鉄時代の投資不足が原因だ。特に九州では毎年災害で鉄道が長期間運休する。施設も老朽化するし、古い路線は線路規格も今と合わないので随時投資して改良しないと維持できない。これはどんな交通機関でも同じである。老朽化しない施設などない。
もう一つは、いずれ東九州新幹線が通るから余計な投資は不要という意見。
一見合理的だが、実際新幹線が通るのは何年後か。現在の整備新幹線の北陸新幹線敦賀以西の開業は2050年を過ぎるとされる。1972年に整備計画が策定されて約80年後である。このペースなら、鹿児島中央〜宮崎間に新幹線が開通が開業するのは、北陸新幹線全通後30年程度かかるだろう。実際は22世紀に入ってからだと私は見ている。随時設備を最新のものに更新する投資をしなければ、新幹線開業前に設備の老朽化で路盤は崩壊し、スピードアップや増発が80年も出来ず、完全に時代遅れの交通機関になって、見向きもされなくなるだろう。見向きもされない以前に、老朽化した橋脚などが崩壊して運休や廃止の可能性もある。実際日本の在来線は、速い路線で時速130km/h運転である。これは国鉄分割民営化の頃に130km/h運転できるようにスピードアップしてから40年近く変わっていない。国鉄時代に在来線特急を160km/hに高速化する研究がされていたが、現在のJR在来線特急はどこも160km/h運転していない。北陸新幹線開業前に北越急行線内で行っていたのが唯一である。しかしヨーロッパや中国は、在来線も160〜200km/h運転している。いかに現在のJR在来線は時代遅れであるかわかる。
特急きりしまも最高速度85km/hである。高速道路はどんどん便利になるのに鉄道は投資しなければ時代遅れになるのは当たり前である。
複線化の壁
日豊本線複線化の壁となるのは、鹿児島〜重富間である。ここはシラス台地の崖が海岸に迫っていて場所がない。また、カーブが多く、スピードアップもしにくい。並行する国道10号もバイパスを建設しているが、用地がないため鹿児島駅付近は海にせり出して山岳ルートを選んだ。
この区間は、鹿児島駅〜磯庭園までは地下化、磯う庭園から重富までは山岳トンネルにする必要がある。地下化すれば災害に強くなり、磯庭園付近の踏切がなくなることで道路の渋滞も無くなる。
また、最高速度が抑えられているのは、鹿児島〜重富間は、カーブが多くて速度を出せないのもある。また、姶良市内は比較的線形が良いものの、駅間距離が短く、特急も多くの駅に停車するので高速化の効果が限定的と見られているのだろう。
姶良市内も開発が進み、用地取得が難しいと見られる。特に団地造成と共に造られた姶良駅、錦江駅付近は、駅のホームすら用地がないため非常に狭いホーム1本だけの構造である。複線化には、単線を上下2段の構造にした重層高架や地下化が必要になる。
鹿児島〜隼人間は複線化に多くの壁があるが、後回しにするとさらに複線化困難になる。
複線化の予想手法
今回は鹿児島側から見るが、鹿児島中央〜鹿児島間は、複線化されており、駅間が3.4kmあるが、JR線を高速路線として位置づけるなら途中駅なしでそのままの方が良い。
鹿児島駅付近が踏切が多く、交通のネックとなっている。城山トンネルを抜けてすぐ地下化。鹿児島駅は2面4線の地下駅。これにより鹿児島駅周辺の8箇所の踏切が解消。特に鹿児島駅南側は、比較的幅の広い道路も踏切があるので渋滞解消に最適である。
地下化する最大の理由は、鹿児島駅北側が古い鹿児島の中心市街地で住宅が密集しており、用地買収の困難さがある。
ほぼ現行線に沿って地下化。国道10号のトンネル出口付近で西に分かれてトンネル出口付近に仙巌園駅移設。今の予定地は地上で近くに踏切があり、駅開業と共に渋滞の悪化が予想されるので、地下化により、渋滞が慢性的な磯庭園周辺の道路状況が改善される。
仙巌園からは重富駅南側まで一気に直線のトンネルで抜ける。踏切もカーブもないので160km/h以上の運転ができる。途中吉野の住宅地直下を通るが、標高差が大きすぎて、地下数百mになるので駅を造ることは現実的でない。
重富付近は高架化。ここは酒造用の水の採水地があるのと、重富駅が古い駅で待避線や駅舎もあり、用地に余裕があるため複線化時も地上の用地確保がしやすいと見られるため、高架を想定した。重富駅は、高架化と共に2面4線化。駅舎が裏通りにあり、バス乗り場が少し遠いので、国道から線路の高架下にバスターミナルを設置、国道から直接駅に入れるようにすれば良い。
重富〜帖佐間は複線高架にするが、姶良駅付近は駅も狭く用地確保も難しい。上下線を重層高架にする。1階を駅舎、2階、3階は1面1線のホームを設置し、階段、エレベーターでホームと駅舎を移動する構造になるだろう。駅舎を高架下に設置するので、今の駅舎の用地はホームに使え、幾分ホームが広くなる。
帖佐駅は、古い構造で、駅舎の前にホーム1面、向かいに1面2線のホームがある典型的な国鉄時代の駅。高架化と同時に駅舎を高架下にすれば、2面4線の駅にできる。
錦江駅は、単線の線路に狭いホームがある1面1線の駅。県営団地が造成されて出来た駅のため、周囲は団地が広がっている。駅前はきれいに整備されているものの、複線化する土地はない。このため別府川を渡ってすぐ地下トンネルに入り、1面2線の島式ホームの地下駅を建設。出入口は現在の駅舎の他に国道側にも設置。錦江駅は、国道からは駅が分かりにくく、ロータリーも整備されているものの、生活道路を通らなくては着けないので住民以外には利用しづらい。国道に出入口設置で幅広い集客を狙う。また、加治木駅手前の網掛川付近は高速化するにはネックになるカーブがある。地上を通ると橋の架替えも必要で用地がないため、地下化と同時に曲線緩和をする。このため網掛川付近は現行線と少し離れる。
加治木駅の手前で地上に出て加治木駅。ここは広い敷地があるので2面4線のホームを設置出来る。
加治木駅から隼人駅までは、隼人西IC周辺にカーブがある。これを緩和するが、国道、東九州道などがあるため、地下、または高い高架線となる。隼人駅を高架化しないと鹿児島空港乗り入れが難しいので高架化となるだろう。
隼人〜国分間は、駅間も短く通過する列車もないと考えられるため、高速化せずに現在の線路を複線化すれば良い。
一連の複線化により、鹿児島〜隼人間は連続して160km/h運転可能になる。駅間の長い仙巌園〜重富間は各駅停車も160km/h運転出来る。鹿児島中央〜国分・鹿児島空港間は普通列車を頻繁に走らせ、それ以遠に向かう列車は快速化。快速は帖佐、加治木に停車。空港連絡快速は鹿児島〜隼人無停車にして160km/h運転を最大限活かす。
次回、実際日豊本線複線化と合わせて肥薩線人吉〜鹿児島中央間がどの程度の時間になるかを検証したい。