スミッシング対策には【SMS拒否設定】の活用を是非!
毎年5月は消費者月間です。
令和6年度のテーマは「デジタル時代に求められる消費者力とは」。
そこで、今回の記事では、デジタルに関連した消費者トラブルとして、いまだに被害が絶えない「スミッシング」(SMSで届く偽のメッセージを起点とする詐欺被害)の対策として、当センターで従前から推奨している「SMS拒否設定」について、改めて詳しくご案内したいと思います。
宅配事業者や通信事業者等を騙る偽SMS(ショートメッセージサービス)は依然として多発中
SMS(ショートメッセージサービス)は、「携帯電話番号」そのものをアドレス(宛先)として、短くはありますが文字列によるメッセージを送ることができるサービスです。その昔は、同一キャリア間でないと送受信できませんでしたが、2011年以降、キャリアに関係なく「電話番号で届くメール」となりました。
SMSは相手のメールアドレスを知らなくてもメッセージを送れる反面、適当に番号を羅列しても誰かに届く可能性があるので、昨今のような架空請求やスミッシングにも悪用されている状況です。以下のIPA(情報処理推進機構)による注意喚起ページもご参考にしてください。
偽SMSについては、「気を付けましょう」「URLをタップしないようにしましょう」といった注意喚起は数々なされていますが、そもそも受信しないで済むのであれば、それに越したことはありません。そこで、当センターでは以前から「SMS拒否設定」を推奨してきました。キャリアごとに操作方法が異なりますので、現時点での状況について、以下それぞれ紹介します。
SMS拒否設定【NTTドコモの場合】
NTTドコモでは、2022年3月以降、「危険SMS拒否設定」をすべてのユーザーに無料で提供しています。
従って、敢えてこの設定を外すような操作でもしていない限りは、危険SMS拒否設定が適用されているはずです。
ただし、これをすり抜けて偽SMSが届いてしまう可能性もあります。その場合は、さらに強固な防御策として、SMS拒否設定を行ってください。
SMSを一切使わない方は「一括拒否設定」を、どうしてもSMS受信が必要な相手がいる場合は、「個別番号受信」によって、受信したい相手方の番号を登録してください。
なお、SMSに+メッセージ(プラスメッセージ)のアプリを利用している場合は、「連絡先未登録者フィルタリング機能」をONに設定することで、連絡先登録済みの相手方とそうでない相手方の着信が分けて表示され、未登録者側に来た着信に対しては厳重に警戒を行い、かつ、未登録者からの着信ではメッセージ中のURLをクリックしてもリンク先への遷移をブロックする機能があるとのことですので、これを利用した方がより安全性は高まるものと考えられます。
SMS拒否設定【au(KDDI)の場合】
auでは、2023年2月以降、「迷惑SMSブロック」機能をすべてのユーザーに無料で提供しています。
従って、敢えてこの機能を解除するような操作でもしていない限りは、迷惑SMSブロック機能が適用されているはずです。ただし、これをすり抜けて偽SMSが届いてしまう可能性もあります。その場合は、さらに強固な防御策として、SMS拒否設定を行ってください。
ただし、au自体のSMS機能では、特定の番号だけを着信許可するという設定はできないようですので、国内・海外の事業者からのSMSをブロックする、あるいはSMS自体を全て利用停止する、ぐらいの選択肢しかありません。
なお、SMSに+メッセージ(プラスメッセージ)のアプリを利用しており、かつAndroidスマホの場合は、連絡先に登録された人以外をすべてブロックする、という設定はできるようです。
AndroidかiPhoneかにかかわらず、+メッセージ(プラスメッセージ)のアプリを利用している場合は、「連絡先未登録者フィルタリング機能」をONに設定することで、前述のNTTドコモの場合と同じく安全性を高めることができます。
SMS拒否設定【ソフトバンクの場合】
ソフトバンクでは、2022年6月以降、「迷惑SMS対策機能」をすべてのユーザーに無料で提供しています。ソフトバンク利用者のほか、同社系列のワイモバイル、LINEMOのユーザーにも適用されるようです。
従って、敢えてこの機能を解除するような操作でもしていない限りは、迷惑SMS対策機能が適用されているはずです。ただし、これをすり抜けて偽SMSが届いてしまう可能性もあります。その場合は、さらに強固な防御策として、SMS拒否設定を行ってください。
上記ページの右側、「SMS」の方のタブを表示した上で、SMSを一切使わない方は「すべてを拒否する」という設定に、どうしてもSMS受信が必要な相手がいる場合は、「許可したい電話番号または英数字」に受信したい相手方の番号を適宜登録してください。
なお、SMSに+メッセージ(プラスメッセージ)のアプリを利用している場合について、ソフトバンク内のページでは特段の記述を見つけられませんでしたが、アプリ自体は同じものなので、前述のNTTドコモやauとも共通する事項は、ソフトバンクでも適用されるものと思われます。
SMS拒否設定【楽天モバイル、その他のMVNOの場合】
楽天モバイルにおいては、同社自体のSMS機能で拒否設定等を施すことはできないとのことです。
なお、iPhoneスマホを利用の場合は、iPhoneの機能としてのSMS拒否は設定可能と説明するページはありました。ただし、この機能は特定の番号を拒否する(ブラックリスト方式)であり、特定の番号のみを許可する(ホワイトリスト方式)ことはできないようです。
また、Androidスマホに関しては、楽天モバイルではなくトレンドマイクロ社のページとなりますが、Androidの機能としてのSMSフィルタリングや受信拒否の設定を解説したページがありましたので、ご参考にしてください。
Androidのメッセージアプリで「スパム対策機能」を設定することはできるようです。また、特定の相手方をブロックすることもできますが、iPhoneと同様、ホワイトリスト方式での受信許可はできないようです。
上記のiPhone、Androidに係る設定については、キャリアに依存しない話ですので、その他のMVNOを利用されている方でも適用できるものと考えられます。ただし、Androidについては、メーカーによってばらつきが大きいため、当該メニューへ至る順序や画面表示内容など、まったく同じではない可能性もありますので、ご了承ください。
ちなみに、上記で「どうしてもSMS受信が必要な相手」と示した者の事例としては、普段からSMSでメッセージをやり取りする家族・友人等のほか、ネットバンキングやSNS等での二段階認証で、当該金融機関やSNS運営事業者等からワンタイムパスワードをSMSで送ってくる場合が考えられます。後者について、予めその番号がわかっていればその番号を登録すればいいのですが、わからない場合は、一旦は全てのSMSを受信許可する設定に変えておく必要がありますので、ご注意ください。
最終的には、頼れる相談先の確保を
と、ここまで長々と説明してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。実は、逆説的なこととなりますが、ここまでの説明をご覧になって、よく理解できた、設定も余裕でできる、という方は、特段対応をせずとも偽SMSを見抜ける可能性は高く、被害には遭いにくいと考えられます。
一方で、よくわからなかった、設定はしてみたいがとても出来そうにない、という方は、大変残念ですが、偽SMSの被害に遭う可能性が高めであると考えられます。
本記事の説明と趣旨をご理解いただけた方は、ぜひあなたの周りにおられる、こうしたIT関係のことがちょっと苦手そうな方に、このような対策をしてみてはどうかと呼び掛けてみてください。そして、場合によっては、その方の代わりにスマホの設定を手伝ってあげてください。
逆に、設定が難しくとてもできそうにないと感じた方は、あなたの周りにおられる、こうしたIT関係のことが得意そうな方に相談してください。そして、このnote記事を見せたうえで、この設定をしておきたいが手伝ってくれないかと尋ねてみてください。どうしても周りにそうした方が見つからなかった場合は、京都府民の方であれば当センターにご相談いただくのでも構いません。
最後に、不幸にして偽SMSに引っかかり、不正なアプリを意図せずインストールさせられてしまった場合についてご説明します。アプリの内容にもよりますが、よく聞かれるパターンとしては、その不正なアプリが、スマホを乗っ取って勝手にSMSを発信していきます。発信するSMSの内容は、最初に自分に届いた偽SMSの内容と同じもの。つまり、ウイルスが増殖するかのように、新たな発信源となるスマホに感染することを狙って、適当な番号の羅列に向けて片っ端からSMSを発信していくことになります。この記事の最初に掲げたIPAの記事の後段でもそれについて書かれています。
自分のスマホがそうした不正アプリに感染していないかどうかについては、トレンドマイクロ社の以下のページも参考にしてください。
そして、大量のSMSを発信したことで、多額の通信料が請求されることになります。SMSは、受信は基本的に無料ですが、発信は1通につき何円、という形で、月額基本料金とは別に上乗せされて請求されます。これに関する消費生活相談が消費生活センターにも寄せられています。
通信事業者によっては、このような場合、事情によっては料金の減免に応じることもあるようですが、一方で強硬にこれに応じなかった事例も聞かれています。必ず減免できるとのお約束はできませんが、本件で多額の料金請求を受けた場合は、お住まいの地域の消費生活センターへご相談ください。