見出し画像

どうやって展示する? インストールワークショップ

こんにちは。
広報グループUです。

突然ですが、みなさん、展覧会に行ったとき、どんなところに注目しますか?
当然、作品ですよね(すみません)。
では、その作品がどのように展示されていたか、覚えていますか?

たとえば、西洋の絵画展で、色付きの壁紙に絵が飾られていたとか、現代美術の展覧会で、繊細な陶器やガラスなどの作品が上から吊り下げられていたとか、そんな展示風景をご覧になったことがある人も多いのではないでしょうか。

その展示、「展示設営技術者(インストーラー)」によるものかもしれません。

先月下旬に新明窓館にオープンしたばかりの本学のメインギャラリー、「京都精華大学ギャラリーTerra-S」では、そんな展示設営を学ぶワークショップが、2月28日、3月1日の2日間かけて行われていました。
すっごく面白かったので、少し長くなりますが、紹介させてください。

画像10

そもそもみなさん、「インストーラー」という仕事をご存知ですか?
私は恥ずかしながら知りませんでした…。
作品をどうやって設置・レイアウトするかを考え、施工する仕事です。

その仕事の奥深さを、プロのインストーラーである、タケダ工作所代表の武田俊彦さん、株式会社 Studio Sawna 代表取締役の宮本千春さんからお話しいただきました。

画像1

画像2

不安定な陶器作品をどうやって安定させて展示するか、重たい作品を安全に吊り下げるにはどうするか、古い絵画作品を臨場感のある見せ方にするには…。
設営技法や作家の意図、作品の性質、制作背景、展示会場のルールなど、多様な要件のなか、展示空間を考案して、作り上げていくお仕事。なんて面白そう…。
次々紹介される展覧会の裏話に、聴講する学生たちも思わず前のめり。

画像3

画像4

質疑応答では、「椅子を壁面に対して垂直に設置したいのですが、どうすれば実現できるでしょう」と具体的な相談が飛び出し、「壁面に鉄柱を埋め込んで、椅子脚をさしてはどうか」と、プロ直伝のアドバイスも。

トークのあとは、ワークショップ。
グループに分かれて、設営作業を行います。

画像5

まず学生たちは、ブルーシートや木材、電球、パネルなどの素材と、お題を渡されました。そのお題とは、こちらの5点。

・壁面3面それぞれに「水平を提示」する
・ブルーシートを「バリエーションのある畳み方」をして展示台に据える
・与えられた平面パネルを「広くリズミカル」に壁面に展開する
・照明器具を「垂れ下がる水」のように展開する
・木材で「森を再生」する

作品ではないモノで、展示空間をつくる。 難しそうだけど楽しそう。
学生たちは、このお題に2日間かけて向き合って、展示会場を作り上げていきます。

画像16

ブルーシートを着てみたり(?)、

画像7

「リズミカルに展開…?」と首を傾げたり、

画像8

画像9

思考錯誤を重ねた2日間。
いったいどんな展示空間ができあがったのでしょう。

実はその結果が、本日から展覧会としてお披露目されています。

画像11

画像12

画像13

画像14

画像15

画像16

すごい!!
どこにでもあるブルーシートや、電球、角材が、立派な芸術作品に見えます!

展示方法でこんなに空間の見え方が変わるのか…とびっくり。作品と一緒にお題も展示されているので、自分だったらどんな展示にするかを考えながら鑑賞するのも楽しそうです。

アーティストとも、キュレーターとも違う、美術のお仕事「インストーラー」。こんな仕事があるんだな~と、新しい視界が開けたワークショップと展覧会でした。

展覧会に挑戦したい人、芸術って何だろうと考えたい人、来年卒業制作展の3年生などなど、たくさんの人にご覧いただきたいなと思います。
ぜひお越しください。

---------------------------------------------
「アートをおく」
日程:3月2日(水)~3月8日(火)13:00~18:00
   ※休場日:3月4日(金)、3月6日(日)

会場:京都精華大学ギャラリーTerra-S
   〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137

関連イベントとして「芸術系大学ギャラリー担当者座談会」を、3月8日(火)に開催予定。まだまだ聴講者を募集中です!

---------------------------------------------

ちなみに、トークとワークショップの指導をしてくださった、インストーラーの武田俊彦さんは、芸術学部の卒業生。ご自身も作家として作品制作をしながら、インストーラーとして展覧会施工に携わっているそうですよ。
次回から、展覧会に行ったら「施工」のスタッフ名も確認しようと思いました。

おしまい。