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障害者=ボランティアという発想にモヤッとした話

 こんにちは。猫です。紅萠祭という京大のイベントで、ビラを900枚配ってきました。ビラの数足りなかったです。もっと刷れば良かった……。

 ビラを配る中で、何人かの新入生さんに声をかけていただいたのですが(ありがとうございます!)、うち2人が「ボランティアですか?」「ボランティア系多いですね」と、ビラをパッと見てうちをボランティアサークルだと思ったようでした。

 で、僕はすっごくモヤモヤしたわけですね。多分彼らは「障害者」という文字を見て「ボランティア」と結びつけたわけです。そして声には出さずとも、ビラを受け取ってくれた新入生の多くがそう思ったことでしょう。僕にはこれがすっごく気持ち悪かった。

 これは偏見を含むかもしれませんか、ボランティアって、無償で社会奉仕することですよね。範囲を人に対して行うものに狭めると、無償でその人に対して支援を行うことだと思います。僕はこの「無償で」「支援する」という部分に引っかかりを覚えたのではないかと思います。

 無償で、というのはつまり、親切心でってことだと思います。支援するっていうのは助けること。障害者とボランティアを結びつけるってことはつまり、「障害者=親切心で助けてあげるべき存在」という意識があるということです。その無意識の思い込みが、僕には非常に気持ち悪く感じました。みなさまはそう思いませんでしょうか。

 障害者はたしかに困難を抱えていて、そこに対する支援や配慮は必要です。でもだからって、障害者が「助けられるべき存在」と定義されることには違和感を感じます。そこには、障害者がひとりの人間で、自立して生きている、自分と何一つ変わらない人間だという意識が欠落しているように感じるからです。障害者を自分と切り離して、「助けられるべき存在」とレッテルを貼り、自分とは違う存在だと、どこか見下して考えているように思うからです。

 そもそも人間はみな、大なり小なり困難を抱えていて、それに気づいた他者が助けてあげるということは日常的に行われているわけで、障害者だけが助けられる存在ってわけではありません。そりゃ助けられる機会は一般的な人より多いのでしょうが、それだってグラデーションで、どこかで分けられるものでもないわけで。つまり健常者と障害者の区別なんてすごく曖昧なのに、障害者という字面を見ると「助けられるべき存在」と特別な定義付けができると思ってしまう。その無意識の考えが気持ち悪い。

 また無償で、親切心でってところも気持ち悪いですよね。むかし京大の、障害のある学生を支援するお仕事をしてる先生に、学生サポーターには「必ず」対価を払うという話をしてもらったことがあります。ボランティアの申し出があっても断ると。これは支援の質を担保する意味もあるでしょうが、それよりも支援する側とされる側が対等であるために必要だからではないかと僕は思います。

 親切心で助けてあげるって、ちょっと上から目線な感じがしませんか。たとえ支援者本人にそんな意識がなくても、それ以外の人、とくに支援される側は、上下関係のようなものを感じてしまうのではないでしょうか。それにタダで親切にしてもらうっていうのは、どこか申し訳無さを感じてしまうものです。

 それが対価があるとどうでしょうか。被支援者は仕事相手で、親切心ではなくて、お金をもらう代わりに義務的に支援している。支援者と被支援者の関係が割り切って考えられて、申し訳無さもないですよね。対価を払うことによって、両者の関係が対等に近づくわけです。

 別に、無償の奉仕活動を否定しているわけではないです。それは重要かつ必要で素晴らしいものだと思います。ただ、障害者は無償で支援すべきと安直に結びつけてしまうのは、かなりの危険があると思うのです。

 そしてもう一つ断っておかなければならないのが、金を払わなきゃやらないって意味ではないということです。僕だって目の見えない友人の手引きくらいするわけで。でもそれって親切心ではないんですよね。もっと普通で当たり前のことで、ボランティアなんて大層なものではないんですよ。友達に分からない問題の解き方を教えてあげるのと一緒。それをボランティアとは言いませんよね。

 つまり何が言いたいかというと、障害者に対してボランティア活動をすることは正しいことだけど、だからって障害者=ボランティアって安直に結びつけるのは、なんか間違ってるよなーということ。いろんな考え方があると思いますが、リアルゼミに所属している猫個人の考えとしては、そう思います。

 ちなみにこの文章、紅萠祭の帰りの電車で書いてるのですが、我ながらなかなかの駄文に仕上がってますね。まあ、モヤモヤを発散したかっただけなので赦してください。

 最後に断っておきますが、うちはボランティアサークルではありません。新入生のみなさまにおかれましては、お間違いのありませんよう。

2023.04.05

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