呼び屋が見たWBC(もしくはヌートバー選手のCMに関する予想)
今さらですが、最高でしたね!WBC。
試合や選手の話はもう出尽くしてしまった感がありますので、私は自分の過去日記を振り返ります。
侍ジャパンが前に優勝したのは2009年の第二回大会。MVPは松坂投手でしたが、実は松坂よりも印象に残る活躍をしたのが当時楽天に在籍していた岩隈投手。松坂よりも多いイニング数、多い奪三振数、低い防御率をマークしながらMVPに選ばれなかった理由は、勝ち星が少なかった(松坂3勝、岩隈1勝)以外に思いつかないのですが、まあいずれにせよ、この大会が岩隈の名を全国に知らしめたことは間違いありません。
そんな岩隈が出演するテレビCMを見つけ、14年前の私はこんなブログを書いていたのでした。
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わずか一ヶ月で/岩隈久志(2009年5月9日)
楽天イーグルスの岩隈投手がすき家のキャンペーンCMに出ている。このCMにはいくつか驚いた点がある。
まず、岩隈のフルネームやプロフィールが出ない。すき家のホームページや店頭ののぼりにも「僕は、岩隈」だけで、野球選手とは書いていない。テレビCMはいきなり「すき家の牛丼って~」と自己紹介なしで始まる。
思い切ったことをするなあと思う。いくらWBCで名前を売ったといっても、ユニフォーム姿でない彼の顔だけを見て「おっ、岩隈じゃん」と思う視聴者は決して多くないだろう。WBC期間中、このブログで「今後CMに使われそうな侍JAPANメンバー」をあげたときも、岩隈はノーマークだった。活躍は十分に鮮烈であったが、「全国」に引っ張りだすにはいまいちイメージが地味かと思ったからである。すき家のCMは「あの人だれだっけ」と思わせて注目させる意図でもあるのだろうか。
もうひとつ驚いたのは、岩隈がWBCで活躍してからCM放映までの期間の短さである。日本が優勝したのが3月24日、岩隈のCMの放送開始が4月23日。ぴったり一ヶ月!WBC前から岩隈のCM起用が決まっていたとは考えにくいし、だとしたら一人の人物が全国的に注目されてからCMが放映されるまでの最短記録ではないだろうか。Webなら分かるがテレビでこの早さは異例である。「旬にこだわる外食企業なら、今が旬の岩隈しかありません!」と広告代理店の企画書に書いてあったかどうかは知らないが、彼のCM起用がほとんど即決であったことに疑う余地はない。しかも、この時期というのが凄い。スポーツ選手のCM撮りは普通オフシーズンに行われるというのに、シーズン中もっともピリピリしているであろう開幕直前に撮影したとは、広告代理店の機動力、ならびに楽天球団の対応にびっくりである。
あとは、右投手の彼が左手で箸を持って牛丼を食べていることや、ホームページですき家が牛丼の店舗数で日本一だと書いてあったことにも「へー」と思ったが、このあたりはコネタである。とにかく「あえてフルネームやプロフィールを出さない」、「全国区人気になってからCM放送までの早さ」に恐れ入った次第である。
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はい、2009年の日記はここまで。
今回のWBCで生まれたニュースターといえば、何と言ってもラーズ・ヌートバー選手でしょう。アメリカ人の彼が日本代表入りした経緯は、検索すればいくらでも情報があるので知りたい方はそちらをどうぞ。呼び屋としては、やはりヌートバーが広告に出る姿を想像してしまいます。明るいキャラクターと溢れる家族愛、そして「ペッパーミルポーズ」という美味しすぎるパフォーマンスまで持ってきたくれた逸材を逃す手はありません。
彼以外で広告映えする選手は誰がいるでしょう。大谷とダルビッシュは別格なので置いといて、吉田、村上あたり?山川や岡本も面白いですが、ちょっと地味かな。岡本と顔が似ている和牛・水田を共演させたら面白いかもしれませんが・・・。やっぱヌートバー以上の選手はいないでしょう!
過去ブログで、私は岩隈のすき家CMが大会終了からわずか1ヵ月で放送されたことに驚いていますが、ヌートバーはどうでしょう。大会後、彼はすぐにカージナルスのキャンプに戻って試合に出ていましたから、広告なりCMの撮影をしたとしたら大会中のオフタイムしかなかったはず。できなくはないでしょうが、なかなかの強行軍です。大物選手なら「勘弁してくれ」ですが、メジャーに上がったばかりでまだサラリーは大したことのないヌートバーですから、広告出演のオファーがあれば受ける可能性は高い。
某ネットニュースが「ヌートバーが広告に出るならギャラはいくら?」という品のない(でも気になる)記事を書いていて、「3ヵ月のCM放映で1500~2000万円クラス」とのことでした。妥当な線だと思います。
そういえば、日本のWBC優勝が決まった翌日、日刊スポーツに「ヌートバー独占手記」が掲載されていました。おそらく来日前後に話をつけていたのでしょう。まだ活躍するかどうか分からない段階で、なかなかのグッジョブです。こういう時、メジャー選手だと必ずエージェントが出てくるので、ヌートバーのエージェントは誰だろうとBaseball Reference(注1)を見ると、ん?記載がない。ぬかったなヌートバー!侍メンバー入りが決まった段階でエージェントをつけておけば、手記のギャラを吊り上げられただろうに。掲載紙としては「助かった」というところでしょうか。スコット・ボラスみたいなエージェント(注2)がついたらギャラは何倍にも高騰しますから。
では、ヌートバーを広告に使うとしたらどんな会社でしょう?誰でも思いつくのが、「ペッパーミル」にちなんで胡椒など香辛料の会社、たとえばエスビー食品とか。あと、お母さんもさんざん日本のマスコミで顔を売ったので母子共演もありかも。だとしたら保険とか、あるいは教育関係、国際電話の会社もフィットしそうです。そういうことに関係なく、スポーツ選手を広告に使うのが好きなふとんの西川なんかが手を上げるかもしれませんが(そういえば大谷選手も西川の広告に出ていました)。
「WBCで全国的な認知度を得た」という点で、前回優勝時の岩隈と似ているヌートバー。しかし、当時の岩隈との大きな違いは、岩隈はその後もスポーツニュースなどで名前を見る機会があるのに対し、一般のメディアがヌートバーのメジャーでの活躍を逐一追いかけることは考えにくい点です。つまり、ヌートバーは広告に使うなら早く使わないと忘れられてしまう危険性があるわけで、広告代理店は出来るだけ早く彼の広告を世に出したいはず。
そう考えれば、もし彼が広告に出るならばですが、早ければ今月中にも「たっちゃん」の笑顔に再会できるかもと期待しています。
(注1)MLBはもちろん世界中の野球選手の情報を網羅したWebサイト
(注2)以前エージェントに関する記事を書いたので、以下ご参考まで。