🥕にんじん断面指なぞりショー🥕ドラマトゥルク_岡元ひかるさんからのフィードバック公開👾#1

京都芸術センターが主催・プロデュースする舞台芸術事業、KAC Performing Arts Program。今年度は、京都を拠点に活動する若手振付家、増川建太とタッグを組み、『指で触れ火にかけかき混ぜ／る振付のレシピ　にんじん断面指なぞりショー』を開催します🥕🥕🥕🥕

👉公演詳細は京都芸術センターホームぺージより

どんな作品？どんな作家？なぜドラマトゥルク？

増川建太は、舞踏の身体観をベースとして、言葉と身体の関係を探求してきた振付家。本作では、「料理のレシピ」と「舞踊譜」という、虚を突く組み合わせを賭け金として、新たな身体の質感を追求します。

本公演では、ダンス研究者の岡元ひかるさんにドラマトゥルクをつとめていただいています。この記事では、ドラマトゥルクとしてクリエーションに伴走している岡元さんに、稽古のメモや、振付家へのフィードバックの一部を公開してもらいます。

岡元さんからのフィードバックやメモは、いわば「にんじん断面ショー」自体のレシピの一部🥕🥕

ショーのネタは見るまでのお楽しみ、レシピも本来は秘伝ですが…！

😳「にんじん断面指なぞりショー」の作り方が気になる！
🤔創作現場で何が起きているのか知りたい！
🤨ドラマトゥルクって聞いたことあるけど、実際、どんなふうにアーティストとつくっているの？
🙄舞踏？舞踊譜？レシピ？コンセプトだけでてんこもりだ！

そんな好奇心をお持ちの皆様のため、岡元さんのメモとフィードバックを、少しだけお裾分け🍱

クリエーション序盤の雰囲気も伝わってくる、岡元さんの記録をお楽しみください。

🌟岡元ひかるさんは、別腹座談会（アフタートーク）ゲストとして、2/9（日）13:00回に登壇予定です。
公演が丸裸になる、徹底討論の予感…！チケットはお早めにお買い求めください。

👉👉公演詳細はこちら

🍣公演日程🍣
2月8日（土）17:00
2月9日（日）13:00
2月10日（月）17:00
2月11日（火・祝）13:00
2月14日（金）17:00
2月15日（土）17:00
2月16日（日）17:00

🥟上演時間：約60～90分
🥠開演1時間前より受付開始。大広間（京都芸術センター事務所棟2階）を待合室として開放します。

👉👉チケット購入はこちら🎫

🍘並盛り（一般）￥3,000
🍙小盛り（U-29）￥2,000
🍚大盛りペア券 ￥5,500
🍛特盛り券 ￥12,000
※期間中何度でもご覧いただける、レシピ付きの通し券

🍜おかわり割：2回目以降の鑑賞は通常料金の￥1,000引き
※当日のみ

🦪当日券は前売料金と同額です。

ドラマトゥルクとは？

✅クリエーションが深化するトリガーになれる人。

「ドラマトゥルク」のやり方は十人十色だと言われていますが、たとえば…
　
👻専門的な知識をもとに、アーティストのコンセプトやアイデアをほかの文脈と繋げる。
👽クリエーションチームの中にいるけどいちばん観客に近い、外の視点からのフィードバックをする。
🤖とにかく話を聞く。煮詰まり感を和らげる。
…などが代表的な仕事と言われています。

▶▶参照
・山崎健太「Artwords : ドラマトゥルク」
・中島那奈子「ドラマトゥルクがいると何が生まれたか　ドラマトゥルク・ミーティング報告」

ドラマトゥルク：岡元ひかる　プロフィール

ダンス研究者。ダンスの振付や稽古の手法を研究する。現在、兵庫県豊岡市の芸術文化観光専門職大学助教。舞踏やコンテンポラリーダンスの振付手法に着目し、「舞踏訓練「虫の歩行」における身体経験の再検討－土方巽の弟子・正朔の実践に注目して－」（『舞踊學』2019(42)）、「土方巽の舞踏における「危機」の実践と思想」（神戸大学博士論文）、「TARB書評:宇野邦一 『土方巽 衰弱体の思想』」などを執筆。近年はドラマトゥルクの仕事について考える企画「ドラマトゥルク・ミーティング ドラマトゥルクがいると何が生まれるか？ 実践的思考と創造プロセスの生成」への登壇や、ワークショップのコーディネート等に携わり、現場との関わり方を模索中。

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12月15日　稽古観察①

メモ（参加初日）
作品の稽古：振付の基本語彙を増川さんが作成。それを元に３人が話し合って言葉をさらに足してゆく。「言葉がまだ身体に入っていない」（黒田さん）→これから言葉が身体に入っていく。
思い出したこと・共有済：土方巽は弟子たちが振付に慣れきってしまうことを防ぐため、新たな語彙を、言葉と言葉のあいだに新しく挿入・追加することがあった。これはある意味で「言葉がまだ身体に入っていない」ような状態をつねにキープするための方法と思われる。

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12月20日　稽古観察②

メモ
三位一体？のような感じ
家父長制のイメージを喚起する３人の配置・役割と／喚起させない配置・役割
シリアスそうでシリアスではない雰囲気（「通知表を渡す」とか）

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12月23日　稽古観察③

振付家へのメールからの抜粋（一部改変）

増川さんへ

先日はありがとうございました。[……]イワシのつみれ汁のシーンを見せて頂いた感想ですが、今日は演者の身体というより、食べ物や調理器具から五感を刺激された感じがしました。特にイワシの骨や身が潰れる音とか、黒田さんの手についたぐちゃぐちゃな魚肉からは「グロテスク」さ、また50年代後半に日本に紹介されたアンフォルメル運動などを連想させられました。

あと調理プロセスのほぼ全般に関わってくる水は、ニンジンやお米や身体ほど画的な図としては浮かび上がりにくいものの、演出にとっても料理にとってもずっと重要なファクターとして背後に存在しているような印象を受けました。以前に増川さんが、食と資本主義の関わりに興味を持ってることを話して下さいましたが、私たちの生活用水が経済や政治とどう繋がっているかは、食、ひいては身体の問題でもあると思ったので、余談になりますが最近ちょっと気になったことを共有します。

・2019年に施行された新しい水道法では、水道施設の運営を民間事業者（外国企業も含む）に託すコンセッション方式を導入できるようになりました。水道事業を民営化できる法律で、それまで公が管理していた水事業に市場経済の論理を導入することを促す動きであると思います。
・日本の水にPFASという有害物質が検出された近年の問題も、知らずのうちに日本人の食という行為に影響する問題だと思います。水の汚染源が米軍基地である可能性が高いにも関わらずなかなか立ち入り調査させてもらえなかった状況は、戦後から引きずる日米の力関係を表していると思います。

こういうわけで先日は主に食べ物とか水に注意が向いたのですが、１月の稽古で言葉がさらに足されていって、３人の身体の存在感が増してくることで、食べ物・道具・水と、身体の関係がどう変化するのか気になって、楽しみです。

そういえば、舞踊譜が読めそうで読めないくらいのボヤけ具合で壁に投影された増川さんの前作の演出、面白かったです。土方巽の振付語彙は（70年代までは）ある意味で企業秘密で、観客は動きを見て訳の分からなさに包まれるけれど、動きの必然性だけは感じ取る、みたいな体験があったのではと考えています。でも増川さんの場合、振付が日常的なレシピの語彙からスタートしているという言葉の内容面だけでなく、やっぱり演出においても分かる／分からない（観客にとっての心理的な近さ／遠さ？）の中間が前面に出ているなと感じました。

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岡元さんのフィードバックやメモは、公演まで随時公開予定です🎶次回もぜひお楽しみに！

※記事内の写真、および宣伝美術は全て進士三紗