洋酒コレクターが終活してわかったこと④
洋酒コレクターの終活方法とそれぞれ向いた人をまとめてみた。
1. 買取業者に売却するのが向いている人
→味に興味なく手間なく儲けたい人。例えば、ラベルやボトルに興味がある人、本数を集めることに興味がある人、病気などの理由で飲めなくなってしまった人など。
2. 遺品整理業者に依頼するのが向いている人
→一軒丸ごと整理したい人。例えば、離れて住んでいる遺族。
3. 縁のあるコレクターに譲るのが向いている人
→コレクションに情愛が深く、たくさんのコレクターと交流があって物事をクヨクヨ考えない人。
4. 一部味見して、残りは捨ててしまうのが向いている人
→味は好きだが生産者やボトルに興味ない人。コレクターと言うより備蓄癖者だろう。例えば、あまり強くない呑兵衛。
5. 一部味見して、残りを譲るのが向いている人
→味が好きで、たくさんのマスターやコレクターと交流があって物事をクヨクヨ考えない人。
3や5に当てはまる幸福な方、おめでとうございます! でも私は何番とぱっとわかる人より、どっちかなと悩んだり、私のようにどれも当てはまらない人もいるだろう。いったいどうしたらいいのだろう。
こんなとき私は「トリアージ」をおすすめする。今話題のあの病気でも出てくる言葉だが、病気や怪我の場合には「患者さんの重症度に基づいて治療の優先度を決め、選別を行うこと」をいう。今回の場合、自分の感情や考えの重要度に応じて優先順位をつけることだ。
私の場合、まず味見ありき。次にお酒を無駄にしたくない。さらにボトルたちには情愛があるし、それぞれのベストステージで輝いて欲しい。
味見できる、ということでまず4と5が選別され、お酒は無駄に出来ないので5が残る。ただ取り越し苦労的な性格なので譲る方を決められない。ならば残りのお酒は自分自身で、何らかの方法で昇華させねばならない。
それで最終的に「バーを始める」という選択をしたのだが、その選択をするための覚悟と条件の話はまた別の機会にしたい。ここでは終活がテーマなのだから。
洋酒だけに限らず、大量のコレクションは諸刃の剣となる。自分にとって命の次に大切なものたちが、命の次に大事な愛する家族たちに大きな負担となってのしかかるのだ。そのうえそれらのコレクションにかける情愛を、自分以上に注ぐことができる他人はいない。だからこそ自分自身でしっかり判断できる脳力を持っているうちに終活することが必要なのだ。これ以上先延ばしせず、この機会に熟考されることを強くお勧めしたい。
もしもタイムトラベルができるようになって、過去の私に会えたならこう言いたい。
もうボトル買わんといて。それあるから私今バーのマスターやねん。
びっくりするやろな。
まあ、未来の私だけでもびっくりやろうけど。
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